晴耕






  温 泉 め ぐ り 其の二






   収録温泉
 優★★★
 「和倉温泉 総湯」

 良★★
 「ユーフォリア千里浜」  「ゆーゆうランド・花椿」  「ひみのはな」  「華山温泉」
 「天然温泉 湯来楽」

 可★
 「ロッジ山ぼうし」  「海王」  「シーサイドヴィラ渤海」  「磯はなび」  「くろば温泉」

 不可
 「砺波ロイヤルホテル」  「川金」  「陽だまりの湯」  「シートピア氷見」









  



  「シートピア氷見」 20080125

 昨年師走の23日、久方ぶりで温泉に入ってきた。11月23日に、「旧ニチユーシーサイドクラブ」を改装して「シートピア氷見」が開業しており、そろそろ客足も落ちついてきただろうと思い、行ってみることにした。

 1階に、「水着ゾーン」として温水プール・露天風呂等や、レストラン・喫茶ルームがあり、4階に「温浴ゾーン」として、展望浴場と和室休憩室などがあった。「旧ニチユーシーサイドクラブ」の施設をそのまま使っており、はっきり言って間取りが悪い。\600の大浴場のみコースでは、露天風呂もサウナも利用できなかった。
 また展望浴場の泉質も、「旧ニチユーシーサイドクラブ」の時は、褐色の濃い源泉を掛け流ししていたのに、「シートピア氷見」では薄く透明なお湯に変わっていた。これでほんとうにHPで書かれているような、「天然温泉かけ流し」と言えるだろうか。

 ところでこの日は、お昼も食べようと思っていた。しかしレストランは、給食室みたいな感じで様子が分からず、喫茶ルームへ行ったら、真っ昼間からカラオケをしていて雰囲気が悪く、メニューもお粗末だった。

 カウンターにいる職員も、入居者や会員がメインなので、われわれ零細な入浴客には愛想が悪い。総じて、温泉としては中途半端な施設であり、少なくとも「温浴ゾーン」へは、再度行く気になれない、というのが正直な感想だった。


【場所】 富山県氷見市柳田字浜畑3449
【HP】 http://seatopia.bz/
【定休日】 水曜日
【営業時間】 9:00-22:00
【料金】 大浴場のみ
  大人600 小人300 幼児無料
【泉質】 ナトリウム-塩化物泉。塩素臭は少ない。
【備考】 循環風呂か?HPでは掛け流しと言う。


←【外観は立派な 「シートピア氷見」 】



  



  「天然温泉 湯来楽」★★ 20070820

 またちょっと前の話になるが、6月の末頃「第22回頼成(らんじょう)の森花しょうぶ祭り」へ行った帰りに、「天然温泉 湯来楽」へ立ち寄った。
 北陸道・砺波インター横にあり、交通の便が非常に良い。氷見インターから30分程度で行ける(片道600円)。
 外見は高岡市江尻の「陽だまりの湯」によく似た、スーパー銭湯的な施設 だった。しかしながら露天風呂のみとはいえ、源泉を掛け流しで提供しているのには、好感が持てた。他の湯船でも、「温泉・濾過循環」や「井戸水・濾過循環」などと、お湯の情報を公開している。さらに熱気風呂(サウナ)・蒸気風呂(スチームサウナ)・壺風呂・寝転び湯等々、あらゆる種類の風呂が楽しめる。
 限られた湯量を、このように使い分けるセンスは良い。温泉通も納得するだろう。
 湯上がり後、高速を飛ばして帰る間、体がぽかぽかと暖かく、肌もしっとりしていた。下記の通り、少々料金は高めだが、なかなかけっこうなお湯でした。

【場所】 砺波市五郎丸
【HP】
 http://www.yu-yurara.jp/index.html 
【定休日】 年中無休
【営業時間】 午前10時から午前0時
【料金】 料金800円。会員になると
 即日700円で入浴できる。
 (小学生までの子供も無料)
【泉質】 源泉の泉質はナトリウム・
 塩化物泉(低張性弱アルカリ性温泉)  ※含鉄・炭酸 茶色
【備考】  掛け流しの「源泉風呂」(露天)
 を設けているのが良かった。ここは
 定時に係員が湯温を計っている。
【設備的には最高の「天然温泉 湯来楽」】





  



  「くろば温泉」★ 20070630

 近年、なぜか6月が一番多忙な季節になっている。今年も見事に毎週末仕事が入って、まともに休めたのは1日ほどだった。その日も奥様や王子様(3歳半になるわが家のきっかん坊主)の、お相手をしなければならないので、自分の時間がほとんど取れない。
 従って今頃、ゴールデン・ウィーク中、日帰りで行った温泉のことなど、書いているのであった。

 5月4日(金)「みどりの日」、休みが当たり、ほんとうに久しぶりで、五箇山へ行った。この日にちなみ、新緑でも見に行こうと思い立ったのが当たり、若葉が春の光を照り返して、目が覚めるほどきれいだった。
 また能越自動車道の氷見インター・チェンジが開通したばかりで、高速道路が非常に使いやすくなり、なんと五箇山まで所要時間は45分だった。これまで下道を走ると、どうしても1時間半はかかっていた。実質半分の時間で行けることになり、五箇山がすぐ身近に感じられる。
 ただし通行料は片道1,250円で、往復2,500円もするとなると、あまり気軽に行けるわけでもないが…。

 ともあれ丸一日、旧平村の観光地で遊び、帰りがけ「くろば温泉」へ入ってきた。実は、同じ平村の温泉では、「ゆー楽」の方が泉質で勝るようなのだが、高速のインターからちょっと遠いので、今回は手前から攻めることにした。
 主な温泉データは次の通り。

      【新緑の五箇山「くろば温泉」】
 【場所】南砺市上平細島
 【HP】なし
 【定休日】毎週火曜日
 【営業時間】10:00—21:00
 【料金】600円
 【泉質】ナトリウム・カルシウム
     —硫酸塩・塩化物泉
   (低張性・弱アルカリ性温泉)
 【備考】加水・循環・塩素殺菌
    か?庄川・小原ダム湖の
    畔にある露天風呂の景色
    は良い。

 確かに備考へ記した通り、加水・循環・塩素殺菌の、取り柄に乏しいお湯だった。しかし、露天風呂の景色だけは一級品で、この日晴天に恵まれたせいもあり、温泉気分を満喫できた。
 まあ、よしとしよう。





  



  「華山温泉」★★ 20070430

 3月11日(日)に旧福光町(南砺市)の、「華山温泉」へ行って来た。しかしその後、地震があったり、伯母が亡くなったりして、身辺が騒々しく、なかなか 「温泉めぐり」に書く暇がなかった。
 華山温泉は展望砂風呂で有名な、福光を代表する温泉で、富山から金沢へ抜ける国道304号線沿いにあり、交通の便も良い。福光へはよく遊びに来ており、前々から一度この温泉に入りたいものだと思っていた。

 今年の3月は、寒い天気が続き、当日も朝からちらほら雪が舞っていた。チェックインは3時だったが、2時頃温泉に着き、ロビーで少し待ってから部屋へ案内してもらった。しばし休憩後、さっそく入浴することにした。
 ここは泉質に自信があるのか、PDFファイルの温泉分析表をホームページで公開しており、事前に入手できた。こうした配慮は、温泉を愛する者にとり、たいへんありがたい。詳細はそちらへ譲るとして、泉質はナトリウム塩化物泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)、源泉の湧出泉温は44℃だった。
 内風呂より露天風呂の泉質が良く、外から見る限り、掛け流しでお湯が管理されていた。毎日夜12時にお湯を抜いて掃除し、朝6時から張るので、朝湯の時、浴槽に半分程しか溜まっていなかった。
 今年は暖冬で雪がなかったのに、この日の夕方から積雪があって、ほんとうの雪見風呂を体験した。少々肌寒いが、露天風呂に浸かって空を見上げ、落ちてくる雪をじっと見つめると、天へ昇るような錯覚にとらわれる。お湯の肌触りも申し分なくて、まさしく天国にいる気分だった。

  【まるで山城のように見える「華山温泉」の全容】
 
 ただ施設が少々古く夕食のメニューもありきたりで、あまり感心できなかった。職員の応対は概して親切だったが、お客のマナーが悪かった(長椅子で眠るじいさん・露天風呂の入口に風呂桶を挟むおじさん)。
 総じて、老朽化しさびれてきた温泉、というような印象を受けた。温泉の質は良かったので、またこれからもがんばって欲しいところだ。
 残念ながら時間の都合で、砂風呂に入れなかった。いつかまた来た時に、ぜひ体験したい。





  



  「ひみのはな ——旧国民年金保養センター・ひみ 再来」★★ 20061221

 先週、まことに久しぶりで、まともな温泉に入ってきた。温泉を愛好するわたくしとしては、たいへん不本意なのだが、いろいろ家庭の事情があって、今年はなかなか行けなかった。
 氷見には、けっこう温泉があるけれど、設備の点で満足できるところが少ない。個人的にはむしろその方が、温泉情緒があって好ましくても、幼児を連れて行くとき、シャワーもないところでは、体もろくに洗えない。
 そこで最近は、時折となり街のスーパー銭湯へ行き、切なる温泉心を紛らわせていた。

 しかし人工温泉とやらにどれだけ入ったところで、身も心もかさつくばかりで、欲求不満になる。
 そうしたところに、「旧 国民年金保養センター・ひみ」が、リニューアル・オープンしたという噂を聞いた。ただしこれは大々的に改築や増築をしたのではなく、経営者が変わり、少々改装しただけだ。
 「KNB NEWS」(北日本放送)を見ると、次のように報道されていた。

 【KNB WEB NEWS 2006年12月01日】
 旧国民年金健康保養センターが元職員の経営で再出発

 全国で年金・社会保険施設の民営化が進む中、元職員のほとんどが再雇用され、民間施設として経営が存続することになった旧国民年金健康保養センターひみが1日「ひみのはな」と名を改め、リニューアルオープンしました。
 年金制度の厳しい財政状況から、去年、全国の他の施設とともに民間への売却が決まった氷見市の旧国民年金健康保養センターひみをめぐっては、職員の有志が経営を引き継ごうと立ち上がり、9月に一般競争入札に参加して、3億4千万円で落札しました。経営は、職員の有志が出資した株式会社「ほようの宿ひみ」が行い、元職員のほとんどが再雇用されています。そして1日、露天風呂などを新たに設置し、名前を「ひみのはな」と改めてリニューアルオープンしました。
 この「ほようの宿ひみ」に対しては事業の将来性を信用して富山第一銀行と日本政策投資銀行があわせておよそ3億5千万円の協調融資を行なっていて、1日富山第一銀行の金岡氷見支店長らが立ち会う中、年金・健康保険福祉施設整理機構とほようの宿ひみとの間で、不動産売買の契約が交わされました。
 めでたいことである。
 「ひみ」は元々、全国の国民年金保養センターの中で珍しく黒字経営をしており、施設・サービス等に定評があった。氷見でもなかなか景色の良い場所に建てられ、市の内外を問わずに利用されていた。設備も含めた温泉地としての総合力では、間違いなく市内でトップクラスだろう。ただ欲を言わせてもらえば、温泉力はもう一つだけど(「九殿浜温泉」参照)、それでも近隣のスーパー銭湯など、足元にも及ばない。

 当日は雨模様で、昼食も兼ね、11時頃に新しい「ひみのはな」へ着いた。外観はどこも変わっていないが、リニューアルオープンを祝う花輪が五つほど入口に飾ってあり、なかなか初々しかった。
 「ひみのはな」では、日帰り入浴に力が入っており、「いっぷく銭館」を作って、入浴施設を充実させた。ここは時間毎にコースが分かれ10時から4時半まで利用でき、料金体系は1時間半500円・3時間700円・6時間900円となっている。スーパー銭湯では時間に関係なく600円が普通だから、それに比べ割高か割安か、議論が分かれるところだろう。
 しかし今まで食事付でなければ入れなかった温泉へ、大きな顔して入れるようになったのが嬉しい。広い休憩室のほか、リクライニング・ルームがあって、マッサージ機も無料で開放されており、奥様の点数も高かった。
 新しい露天風呂は温度が低めに設定され(41.5度)、海や山が見え目の保養になり、いくらでも入っていられる。サウナや壷湯など、今どきの設備も、抜かりなく作られていた。とはいえ泉質からすれば、従来の内風呂の方が源泉に近い状態で、よく温まる。それは好みにまかせ選べば良いわけで、これまでのように大浴場しかないことに比べれば、格段に楽しく入浴できる。
 久しぶりに入った温泉で、心身とも潤った感じがし、帰りがけに奮発して3時間コース10枚綴りの回数券を、5千円で買った。これで一回200円もお得となり、もうわざわざ他所のスーパー銭湯へなど、通わなくても済むことになるだろう。




  



  「温泉主義の休刊」 20060522

 近頃、間が悪くてなかなか温泉へ行けない。
 他で書いた通り(「徒然雑記」20060506)、ゴールデン・ウィークも家中カゼひきで、どこへも出られなかった。最後に温泉らしき所へ行ってから、かれこれ2か月も経とうとしている。けれども7月頃までいろいろ忙しくて、連休が取れず、夏にならないとお泊まりで、温泉旅行ができない。

 そうした鬱憤を晴らすために、折々出版される温泉関係の本を読みあさり、空想の中で名湯に浸かり、気持ちを静めていた。ただし温泉本のほとんどは旅行案内の類で、提灯持ち記事に終始し、欲しい情報が得られない。
 そんな中で、「温泉主義」(くまざさ出版社2001創刊)という雑誌が群を抜いて優れ、本音で書いた記事が多く、毎号愛読していた。編集長の松田忠徳氏は、現代日本の温泉文化に警鐘を鳴らし続け、循環風呂や温泉分析表等の問題を、一般に知らせた功績がある。
 しかしこの「温泉主義」は、なかなか定期的に発行できず、雑誌から書籍に体裁を変えたりしていたが、とうとう2005年12月に、たったの5号をもって休刊となった。その理由は明確にされていないけれど、おそらく松田氏が売れっ子になりすぎ、編集・執筆に時間が取れなくなったからだろう。
 2000年に『列島縦断2500湯』(日本経済新聞社)という、前人未踏のルポを敢行し、名実ともに日本で指折りの温泉通となった熱意が薄れたのだろうか。まあ松田氏の本職は、モンゴル文化の研究であり、最近の大相撲におけるモンゴル旋風のあおりで、こっちの方の仕事が忙しくなったせいかも知れない。

 しかし、国技の大相撲における、日本人力士(本来ならこんな言葉さえおかしい)の凋落ぶりに、心を痛めている者としては、失礼だけど『朝青龍はなぜ負けないのか』(新潮社2005)なんか書いてるヒマがあったら、まともな温泉本を作ってもらいたいものだ。
 とくに富山県関係の温泉で、きちんと紹介しているのは、「大牧温泉」と「小川温泉」くらいでないか。黒部峡谷にはまだまだすごい温泉があるし、手前みそながら、氷見の名湯「さっさきの湯」とか、先行きあやしい「神代温泉」とか、取り上げてくれても良いと思う。

 たいへんお忙しいこととは存じますが、愛読者として、またよろしくお願い申し上げる次第です。





  




  「ゆーゆうランド・花椿」★★ 20060404

 3月の終わり頃、無性に温泉が恋しくなり、旧井口村(南砺市)にある、「ゆーゆうランド・花椿」 へ行ってきた。
 ここは砺波地方の伝統的な住宅建築様式である、「あずまだち」(写真参照)で造られた、ちょっとこだわりの公営入浴施設だった。別名「井口体験交流センター」ともいう。
 そのせいか平日でも、かなり広い休憩室が、爺さん婆さんで満員状態だった。まあこのようにはやっていることは、決して悪いことではない。

 混んでいることを予想した我々は、午前中に目的地へ着くべく高速道路を飛ばし、順調に11時頃、「花椿」へ到着した。晴れ時々曇り、折々雪という目まぐるしい天候ながら、暖かい休憩室でお弁当を広げ、庭の木々を眺めるひとときは、たいへん心地よかった。

      【あずまだち民家風の「ゆーゆうランド・花椿」】   いっぷくしたところで、待望の温泉へ入る。
 口コミ情報では(「@nifty温泉」など)、ここが南砺市の温泉で一番などという話もあり、期待に胸がおどる。
 温泉分析表によれば、泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉の含鉄で、毎分40リットル湧出し、源泉43.4度だった。

 少々湯量が少なく、循環・加熱・加水はやむなしといったところか。ただ浴室へ入っても、それほど塩素臭がなく、加水していても源泉の性質が分かる程度だったので、まあ良しととしよう。
 折しも椿の季節であり、露天風呂で手入れの行き届いた花を観賞しながら、ぬるめのお湯に浸かるのは、なかなか気分がよかった。「花椿」は赤祖父池の畔にあり、景色が良い場所に建てられている。ただ「楽今日館」のように浴室からダム湖は見えず、ちょっと残念だった。  

 それやこれやで、けっこう楽しく過ごさせていただいていた。
 しかしながら、横にいた爺さんが、昼間っから独りで酔っぱらっており、何やかや言ってからまれそうになった。わたくしも若い頃は、血の気の多い方だったから、あと一歩で手が出そうになった。あぶない、あぶない。
 彼は常連らしく、気を利かした食堂のご主人が出てきて、適当にあしらってくれたのだが…。
 しかしまあそれは、この施設のせいでなく、泉質と設備からすれば、「花椿」は県内の日帰り温泉として、ましな部類に入るだろう。  





  




  「和倉温泉 総湯」★★★ 20051017


 秋になってあちこち遊び歩くせいか、このところ珍しく持ちネタが豊富で、なかなか掲載しきれない。
 本日も、かれこれひと月ほど前に行った、和倉温泉「総湯」のことを書きたい。少々当日の感動も薄れ、タイムリーさに欠けるけれど、ここは久しぶりに体験できた、実力ある温泉だった。
 氷見の人間なら、忘年会などに和倉温泉へ行くことが多い。その際は、林立する温泉旅館の中から、格安のコースを選ぶだけで、もともと温泉へ入ることが目的ではない。

 そのせいか個人的には、和倉温泉の温泉力に疑問を感じており、これまであまり積極的に行きたいと考えていなかった。しかし、かねてから某氏に「総湯」だけは別物であると、しばしば推薦されていたので、それならいつかぜひ入浴したいと念願していた。ただし氷見から和倉まではちょっと遠く、車で1時間以上かかる。温泉は愛するが、あまり「がんばらない」主義なので、なにかついでの機会をさがしていた。
 折りしも、「石川県七尾美術館」で、

 「開館10周年・新七尾市誕生記念 美術館に行こう!
  〜ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方〜


という展覧会を開催していた。ミッフィー好きの奥様の、たっての希望もあって、七尾行が決定した。
 これを見逃すわけがない。
 さっそく「総湯」の場所や開館時間・入館料・館内施設等々を調べ上げ、意気揚々と七尾へ向った。

 ディック・ブルーナ展もなかなかおもしろく、幼い息子が初めての展覧会を楽しむ様子に、心温まるものがあった。それなら体も温めようと、昼下がりに和倉温泉へ向った。
 どこの温泉街もゴチャゴチャしているものなので、すぐ見つかるか不安だったが、さすがに「総湯」は分かりやすかった。和倉温泉のシンボルとして、どーんと鎮座ましましていた。


        【和倉温泉「総湯」の威容】
 入口左手に足湯、右手に飲泉場があり、「温泉たまご」も自由に作れる。
 実物は写真で見るより、かなり大型の施設で、入口横に足湯があるのはまだしも、「温泉たまご」を作るための、湯槽まであって驚いた。そこに惜しげもなく、熱々の源泉が流されている!
 これでもう湧出量が毎分1,600リットルという、「総湯」の温泉力はご理解いただけよう。

 「温泉分析表」も平成16年10月1日付の新しいものが、でかでかと張り出されていた。ホームページでも自信たっぷりに、以下の通り全文公開している。

 《温泉分析表》

 源  泉  名 和倉温泉(5号源泉、8号源泉、10号源泉、13号源泉)
 湧  出  地 石川県七尾市和倉町ヨ部79番地1
 泉     質 ナトリウム・カルシウム 塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)
 泉     温 84.8℃(気温28.8℃)
 湧  出  量 毎分1,600リットル/min(動力)
  pH    値 7.4(ガラス電極法)
 蒸発残留物 22.8g/kg(130℃)
 電気伝導度 30.1mS/cm(25℃)
 ※飲用の適応症
 
 慢性消化器病、慢性便秘、吸入療法(うがい等)、慢性気管支炎、咽喉炎
 ※浴用の適応症
  神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、
  慢性消化器病、痔疾、冷え性、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、
  慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病
 ※分析年月日
  平成16年10月1日

 昨今の温泉事情を思えば、まことに胸のもやもやが、晴れわたるような気になる。勇んで480円のチケットを買い、静かな仮眠室や広々とした休憩室を抜け、脱衣所の暖簾をくぐる。
 浴室は清潔で明るく、どこぞの如きさわやかな塩素臭もなく、お湯が滔々と流れていた。また温泉を注ぐ樋の横に、各々飲泉用のカップが置かれており、嬉しかった。ただよくよく細部を点検すると、循環風呂の設備があって、ちょっと気になる。
 それはさておき、久しぶりで入るアルカリ性の温泉は、滑らかで実に気持ち良かった。熱めのお湯にじっくり浸かると、汗とともに、体の疲れが溶け出てゆくようだ。
 入浴後、温泉分析表を改めて詳しく読んでいると、高温泉なのでいくらか加水・循環しているそうだった。しかし風呂掃除の際に塩素を使うだけで、お湯には一切投入していないと書かれており、納得できた。
 いやあ、堪能しました。「温泉めぐり 其の二」の中ではダントツの良い湯で、全体でもかなり上の部類に入りそうだ。
 今度行くときは、玉子をひとパック持参して、ぜひ「温泉たまご」を作ろうっと。

 かくのごとく楽しい温泉であったが、ちょっと困った出来事もあった。久しぶりに飲泉のできるお湯であり、喜んで飲んでいた。ところがこのお湯は、「慢性便秘」が適応症なのだった。満足して帰る車の中で、急に便意をもよおし、危機一髪でコンビニなどの手洗いへ駆け込んだ。少々体調が悪かったせいもあるけれど、「総湯」へお越しの方は、飲泉の際、くれぐれもご注意ください。





  




  「雨晴温泉 磯はなび」★ 20050919


 このところ、ちょこちょこ休みが取れ、そのたびに温泉ばかり行っている。
 お手軽なレジャーであり、リフレッシュ効果も高いので、外出した折は、どこかのお湯に浸かってから帰ることが多い。
 先日も、近場の「雨晴温泉 磯はなび」へ行ってきた。
 実はこの温泉のすぐ横に、「殿山農園」がある。ここで奥様念願のぶどう狩りを敢行した後、帰宅し夕飯を作るのもめんどうで、お風呂へ入り食事して、後は寝るだけにしよう、ということになった。
 この農園については、また「里山日記」にでも書くことにしよう。

 ともあれ、「磯はなび」で最も安いコース「いっぷくプラン 夕食」を見つけ、朝予約し昼すぎ出かけた。
 コースの受付開始時間の、5時に大部屋へ入ると、この日は2組しか予約がなく、幼い息子が騒いでも、だいじょうぶそうで助かった。
 そこであそび疲れた奥様が、まずしっかり体を洗うため風呂へ行き、食事後にまた一同でゆっくり入浴し、帰ってきた。
 食事も安いわりにはなかなかのお味で、小鍋仕立の蛸釜飯が良かった。お酒の種類もけっこうあり、健康には悪いけれど、ほろ酔いかげんで温泉へ入った。
 
         【雨晴温泉 磯はなび】
 
 「雨晴温泉」は、ナトリウム−塩化物泉で弱アルカリ性。源泉は平成元年に40度あったが、平成13年に28.6度となり、当然のように全循環風呂だった。浴室には、「大浴場」「野天(ママ)風岩風呂」「気泡風呂」「ひのき風呂」(HPより)があり、玄関横に「足湯」も設けられている。
 「野天(ママ)風岩風呂」という、苦しい名称の通り、露天風呂は造られておらず、それならなぜこんな岩風呂が必要かよく分らない。また「ひのき風呂」も厳密に言えば、「ひのき風桶風呂」に他ならず、なんと横側だけ檜板で、底はメッシュのタイルだった。
 かくのごとく、設計思想が半端であり、手抜きだと見なされても仕方ない。塩素臭はそれほどなかったが、いかにも濾過し薄められたお湯で、あまり感心できなかった。まあ結局、ここは農協の保養施設だから、高級な温泉など必要ない、と言われればそれまでだが。
 ただこの檜風々呂の泉質はなかなか良く、アルカリ性のお湯らしい効能があった。家に帰って、ささくれ立っていたわが足の裏を見ると、表皮が柔らかくなり、角質がポロポロ落ちて驚いた。
 ほんとうならこうした温泉力を、もっと有効に活用してもらいたいものだ。





  




  「シーサイドヴィラ渤海」★ 20050828


 最近ホントに調子よく、あちこちの温泉を巡っている。先週は、遅まきながら海水浴を兼ねて、富来町にある「シーサイドヴィラ渤海」へ行ってきた。
 氷見に住んでいながら、海水浴に他所へ行くとは何事か、とお叱りを受けてもしかたない。しかし、残念ながら有磯海には、あまり遠浅の海岸がなく、また漂着するゴミが多い。幼い息子の初泳ぎには、やはり水がきれいで安全な能登へ行こうと、初心者のオヤジがはりきって車を飛ばしたのだった。

 富来町には色々な名所があり、とりわけ増穂浦は富来町HPによれば、「日本の水浴場55選」に選ばれた水質の良い海水浴場で、桜貝が多く採れ「日本小貝三名所」でもあるという。また「世界一長いベンチ」という、460mもあるベンチから、夕日に映える海岸を眺めることもできるらしい。
 実際来て見て、こうした情報にほぼ偽りがないことを確認できた。わが子も終始おお喜びで、いっしょに波打ち際で戯れていると、日常の憂さも忘れるようだった。


     【シーサイドヴィラ渤海の威容】
 さて「渤海」の話をしよう。
 ここはあか抜けた町営の宿泊施設で、建物からしてかくの如く、異彩を放っている。
 隣の志賀町にある原発から、助成金などもらった形跡があり(定礎に電力事業助成とあった)、他の町営施設には見られないほど、設備が整っており、また料金も割安だった。
 とりわけ裏手にあるプライベート・ビーチは、更衣室やシャワーなど言うに及ばず、二人ほど入れる浴室があり、さらにデッキには写真の通り、ジャグジーまで付いていた。


【設備の良い渤海のプライベート・ビーチ】

     【感動のジャグジー】

 冷え切って砂の付いた体に、この入浴設備のありがたかったこと。失礼だが、巷の浜茶屋などに、マネできるものではなかろう。
 楽しみの夕食も、能登牛のヒレ・ステーキなどが付いた、なかなかのご馳走で、サービスも良く、公共の宿としてはかなり上の部類に入るだろう。

 しかしこのように多々長所があったけれど、「渤海」の温泉はいまいちだった。
 泉質分析表によれば、ナトリウム−塩化物強塩泉で、源泉は37度。循環風呂なのは、まあ仕方がない。
 ただかなり加水・濾過しており、源泉の性質が失われている感じがした。露天風呂でも内風呂でも、お湯を舐めてみて、あまり塩気がない。同じ泉質だった「海王」の露天風呂では、海水よりも塩辛いほどだった。また好みは分かれるだろうけど、浴室の造りが現代風で凝り過ぎており、温泉情緒というものとはかけ離れていた。
 おりしも某少年野球チームの皆さんが泊っており、露天風呂などでお猿のようにはしゃいでいた。そんな彼等にちょうどくらいであって、少々ヒネた温泉好きのおじさんには、なじめるふんいきではなかった。
 概して温泉力に乏しく、スーパー銭湯に近い入浴施設と言っていい。

 まあそれでも料金が割安な上、プライベート・ビーチで楽しめるような温泉宿など、能登には他になく、しごく満足して帰路についた。また来ようっと。





  




  「天然温泉 海王」★ 20050808


 近頃またボチボチと、温泉を回り出した。
 毎週とは言わないまでも、月に数回はどこぞのお湯で、ゆっくり羽を伸ばしている。
 それもこれも幼い息子がお風呂好きで、とりあえず湯船に浸かってさえいればご機嫌が直るおかげで、非常に行きやすくなったためだ。ただしまだ男湯へ入れる状況ではないので、奥様のご苦労を思えば、ほけほけと露天風呂などでのんびりできないけれど、それにしてもありがたい。
 こうしてパソコンを見据えるドライ・アイも、少しは潤って来たようだ。

 ということで先週は、新湊の「道の駅」に隣接する「天然温泉 海王」へ行って来た。

       【天然温泉 海王】
 ※玄関の左側に「足湯」が設けられている。
 ここは入口にあるチラシによれば、平成17年6月にオープンしたばかりで、地下1200mより温泉を汲み上げている。大浴場・露天風呂・サウナの他、お食事所・貸室・癒所(リラックス・ルーム)等があり、ウリは足湯で源泉をそのまま掛け流しているらしい。
 泉質分析表も最新のものが掲示され、概ね次のようになっていた。

 ナトリウム−塩化物強塩泉
 (高張性中性高温泉)
 源泉:50度
 湧出量:320リットル/分
 露天風呂(温泉):循環加熱
 内湯(井戸水):加熱掛け流し

 露天風呂は循環ながら、重厚で塩気の強いお湯であり、わずかに炭酸も含まれている。少し熱めだが、本格的な温泉で好感がもてた。また内湯で使っている井戸水も、なかなか滑らかで肌触りが良く、塩素臭いふつうの銭湯とは雲泥の差がある。大型温泉施設の割には、街の銭湯的なふんいきもあって、親しみやすい感じだった。
 そのせいか平日に行ったのに、近所の爺ちゃん婆ちゃんが休憩室でゴロゴロ寝そべっており、居場所に困った。しかしこれは短所でなく、居心地のいい証しだろう。

 ところでひと月ほど前、似たような入浴施設である「陽だまりの湯」も行って来た。ここは残念ながら天然温泉でなく、広大な露天風呂は、「人工アルカリ性単純温泉」という珍妙なものだった。まあ、入浴剤入りのお風呂だと思えばいいだろう。しかし壷湯・寝ころび湯・ 漢薬蒸炉(スチーム・サウナ)など、設備は完璧に整備されており、塩素臭いことをガマンすれば、かなり遊べる。

 けれども、やはり私見からすれば、どれだけ設備が良くても、温泉力の有る無しは歴然としていた。
 「陽だまりの湯」は出てすぐ体が冷え、肌もカサカサするのに対し、「海王」は家まで帰る30分ほどの間中、ぽかぽかと暖かく、寝るまで全身しっとりしている。
 やはりスーパー銭湯といえど、天然温泉に敵わないということを、改めて認識させていただいた。





  




  「ロッジ山ぼうし」★ 20050528


 もう6月も間近だというのに、まだゴールデン・ウィークの話で申し訳ない。
 しかし先週「里山日記」(20050522)にアップした「稲葉山牧場」で予告した通り、「ロッジ山ぼうし」のことを書かなければならない。

 五月五日の背比べの日、「稲葉山牧場」で遊んだ後、隣山の中にある、「とやま・ふくおか家族旅行村 ロッジ山ぼうし」へ泊った。
 ここは一山越えれば氷見市になるという位置関係で、わが街の水源地である「五位ダム」の湖畔に位置する。そのように直線距離ではすぐそこにありながら、実際行くには高岡市を通って福岡町へ出なければならない。
 わざわざ泊るほどの距離でもないのだが、ゆっくり温泉に入りたかったし、公共の宿で料金も安かったこともあって、家事をサボるため一泊した。

 広々としたダム湖のほとりに建てられたロッジには、スケート場やキャンプ場、レンタサイクルなど、アウトドア・スポーツの設備が整っている。5日はやはり連休中とあって、駐車場もいっぱいで、多くの人がレジャーを楽しんでいた。
 しかし一般の人なら連休はこの日までなので、なんと幸か不幸か泊り客は、我々一行のみであった。
 築10年ほどのロッジはまだ新しく、公共の宿らしい簡素な部屋でまずくつろいだ。ただチェック・イン4時、チェック・アウト9時と、これまた公共の宿らしいサービスで、あまり長居できない。

   【五月五日の ロッジ山ぼうし 全景】
 そこで時間を惜しみさっそく入浴しようと、風呂場へ向った。
 ここは以前に一度入ったことがあり、勝手も知れている。最近は泉質分析表のない所が多いので、ものの本を調べると、ナトリウム・塩化物泉(食塩泉)で、源泉は29.5度らしい。当然循環しており少々塩素臭はあるものの、サラッとしたお湯でまあまあだった。露天風呂も泉質は同じだったが、ロケーションが良く、ダム湖越しに新緑の山々を眺めると、眼がリフレッシュする。やはり持病のドライ・アイには温泉が一番だと、しみじみ感じるひと時であった。
 夕食も山菜中心の御膳で、漁師街に住む者には、なかなか美味しかった。

 しつこいけれど、公共のお安い宿である、ということさえわきまえておれば、「ロッジ山ぼうし」は決して悪くない。在所のおじさん・おばさんとおぼしき職員のローカルな接客ぶりも、ほほえましいものだった。
 などと少し見くびっていたところ、数日して「ロッジ山ぼうし」から、利用御礼のハガキが届いた。ふつう礼状が来るだけでも珍しいのに、温泉のタダ券まで付いており、感動した。
 職員各位の熱意ある心遣いに感謝いたします。





  




  「ユーフォリア千里浜」★★ 20050514


 今年のゴールデン・ウィークは、仕事の関係で休みが続かず、せいぜい三連休という寂しいものだった。しかたなく近場で遊ぼうということになり、まず手はじめに隣町の千里浜へ行ってきた。朝からいい天気で、お弁当をこしらえ、意気揚々と県境を越え羽咋市へ向かった。
 予定通り昼前に千里浜へ着き、さっそく弁当を広げようと、「なぎさドライブウェイ」の適当な場所で停車した。久しぶりに見る渚は、まさに絶景であったけれど、なにせ風が強く、寒くてならない。それでもシートを広げ、クーラー等で隅を押さえ、おいしく食事をしたものの、体が冷えきってしまった。せっかく愛しいわが息子のために積んできた「お砂場セット」も、まったく出る幕がない。
 そこで寒気のする体を温めるため、急遽「ユーフォリア千里浜」へ向かうことにした。

 「ユーフォリア千里浜」は羽咋市のHPによれば、
「名前からしてとっても幸せな気分になれるリフレッシュ施設。浴場には気泡湯・寝湯・打たせ湯・サウナ・水風呂・露天風呂があり、ストレスの解消と健康の保持増進のために人気の施設」
らしい。25mの温水プールもあり、「桜ヶ池クアガーデン」とよく似た施設だった。ただし、宿泊はできず、クアガーデンほど高級感もない。泉質にあまり期待は持てないとしても、なにぶんこの日は体が冷えており、温もりが欲しかった。

 お風呂場のどこにも泉質分析表がなかったので、詳細は分からないが、たぶんナトリウム塩化物泉であろう。源泉は50数度あり、褐色で塩辛いお湯だった。大浴場はHPに書いてある通り、設備が整い、開放的な明るい浴室だった。それなりに楽しんで、露天風呂へ向かう。
 するとうれしいことに、ここのお湯は、室内と全く異なったものだった。
 ほとんど塩素臭がなく、深緑に焦げ茶を混ぜたような色で、わずかに油分が浮いており、源泉に近いものだった。また基本的に循環しておらず、掛け流しに近い形でお湯が管理されていた。これならまあ良しとしよう。
 その効果はてきめんで、クアガーデンのように入浴後、お肌がカサカサすることもなく、帰宅するまで体はポカポカしていた。

 
   【温かったユーフォリア千里浜】
 ← 【寒かった千里浜】





  




  「雄神温泉 川金」 20050220


 息子が1歳を越え、あちこち連れて行けるようになり、さっそくまた温泉へ泊ってきた。
 今回は旧砺波市を代表する雄神(おがみ)温泉・川金を選んだ。
 新砺波市には庄川温泉郷が合併されたので、当然こちらの方が中心になる。しかし実のところ雄神温泉は、庄川温泉の隣にあるのだった。ほとんど同じ温泉と言っても差し支えないのに、市域の違いから分け隔てされていたに過ぎない。フロント係の人なども、これまでうちだけが別でしたが、合併して安心しました、と言っていた。

 川金は砺波市の中でも有名な高級旅館で、料理に定評があり、一度は泊ってみたいと憧れていた。ただ少々お高い宿なので、家族で泊まったらたいへんだなあ〜と、これまで敬遠していた。
 ところがふと思いたって、川金のホームページを丹念にのぞいていたら、「特別プラン」に「平日プラン」があり、ふつうの宿泊料金より千円以上安くなる。また、11月から3月は冬季なので、3千円ほど安く、シーズン中に泊るより、なんと4千円もお得になるのだった。まあ考えてみれば、なんでこんなに差があるのか、ちょっと理解に苦しむけれど(名物の鮎が食べられないせいか?)。

 それはさておき、当日は冬の晴間に恵まれ、お昼頃に庄川峡へ車を走らせた。
 水記念公園で「庄川もちもち遊楽」なるイベントが行われており、久しぶりに衝きたての餅をほおばり実にうまかった。その後、庄川ウッドプラザで土産物をあさり、3時ちょうどにお宿へ着いた。
 夕食までに時間があるので、さっそく奥様の許しを得て、息子を残しそそくさと大浴場へ向った。近頃、赤ん坊を入浴させるのは親父の仕事とされており、ふだんひとりでお風呂を楽しむことなどない。久しぶりの温泉だと、はやる気持を押えられず、足早に1階へ降りて「雄神の湯」の暖簾をくぐる。服を脱ぎながら湯船をのぞくと、無色透明のお湯に勇ましくジャグラーの泡が立っている。

    【よく晴れた雄神温泉・川金の朝】
 心そそられるものがあるけれど、はて?温泉分析表がない。更衣室に貼ってあるチラシ類を丹念に目で追っても、やはりなかった。ははあ、これではあまり期待できないとがっかりしたが、広いお湯につかるだけでも良いかと思って浴室の戸を開けた。
 中はそれほど塩素臭くなかったとはいえ、大浴場も露天風呂も案の定、しっかり設備の整った循環風呂だった。特に露天風呂の泉質があやしく、消毒臭かった。でもまあ趣味の良い庭園付のお湯が、気持悪いわけがない。折から雪もちらついたりして、なかなか風情があった。後でちょっと調べたら、雄神温泉は一説によると炭酸鉄泉か重炭酸土類泉らしい。

 お湯はかくの如く評価できないが、マッサージ機にうるさい奥様の言によれば、ここにはN社製の最新型が2台設置されており、おまけに無料サービスであったことは、特筆されるとのことだった。あまり気持よくて、夜中に寝とぼける父子を残し、丸1時間ほどゆっくり極楽気分を味わっていたらしい。

 風呂上りにゆったりと休憩して、6時過ぎ夕食をいただいた。
 部屋出しとばかり思っていたら、ねんごろに別室を用意してくれたようだ。しかし折悪しく息子が寝入ってしまい、どうしようかと思っていたら、ふんいきを察知してか食事を始めた途端、起き上がってきた。
 それからはとにかく種々の美しい器を、いたずらされないよう気を使うばかりで、食事の味など分らなかった…と言えば嘘になる。岩魚の塩焼きに、マナガツオの蒸し物に、猪の小鍋に、てんぷら各種等々、どれも柔らかい上品な味付けであり、最後におにぎり入りの茶漬けまで出て感動した。蒸し物やお茶漬けなど、息子もたいへん美味しくつまみ食いしていた。時季が時季だけに食材が乏しいうらみはあっても、食事については評判通りのお味で堪能した。ただちょっとお酒の種類が少なく、料金も高かったことが難点だろうか。
 その他は、設備・接客等も含め、概ね良好な川金であった。総合力としては、じゅうぶん上宿の部類に入るであろう。





  




  「砺波ロイヤルホテル」 20041115


 この「温泉めぐり」は、実に久しぶりの更新となった。
 昨年9月に「凧」へ行って以来だから、もう軽く一年以上、どの温泉へも行っていないことになる。
 息子の健康祈願に、好きな温泉断ちを志したわけでは、当然ない。乳児が公衆浴場へ入るのは、衛生上好ましくないと言われているそうで、それなら仕方ないかとガマンしていたのだ。
 しかしほんとうに永かった…。
 とりわけヘタレ体質で、またカゼもひきやすく、あまつさえドライ・アイに悩まされる人間にとり、温泉へ入ることがどれほど体力回復に裨益していたか、思い知らされた。ぬるめで、ヌルッとしていて(難しく言えばアルカリ泉ということ)、いくらか濁っているようなお湯に、出たり入ったりして一時間ほども過ごす。すると全身が芯から暖まり、喉のイガイガがなくなり、眼がうるおう。
 こんな体に良いことを一年以上もしていなければ、そりゃ今回のようなひどいカゼもひくわな…。

 前置きはこの位にして、例の「天神様ツアー」(→徒然雑記 20041107)の際、「砺波ロイヤルホテル」に一泊してきた。
 ここは入浴施設も充実した、大規模なリゾート型のホテルだった。感じとしては「高山グリーンホテル」によく似ている。
 接客もこんな田舎のホテル(砺波山中の一軒宿)の割にはしっかりしていた。とりわけ夕食時、乳児を連れて行くのでよろしくと頼んでおいたら、10人位入る小部屋に、ベビー・ベットまで用意しておいてくれた。ベッドは朝食時のレストランでも利用でき、また子供用布団もあって、乳児向けサービスがしっかりしていた。
 まあ格安の「ファミリーふれあいプラン」という、宿泊コースを選んでのことだったので、子供への配慮は当然ともいえる。ただ今回、われら親子の「はじめてのお泊り」であったわけで、いろいろ心配のタネが多く、こうしたサービスがありがたかった。
 
  【砺波ロイヤルホテルの威容】
 ちなみにこの日いただいたのは、中華のフルコースで、これが富山県内トップクラスのお味だった。中華料理は好物であり、けっこうあちこちの店で食べたが、コース料理のお品書きを付けてくれた料理屋は、ここぐらいだった。
 お店側の誠意と自信が、かいま見れるようで気持ち良い。その内容は次の通り。

   菜 単

 秋の冷菜盛り合わせ/芝海老のレモン風味炒め/蟹肉とイカのXO醤炒め/
 揚げ物二種/茄子と豚ヒレはさみ焼き バーベキューソース添え/
 秋キノコと青梗菜の炒め/翡翠仕立てフカヒレスープ/牛肉のおこげ/点心


 書き写しつつ思い出している内、なんだかお腹が空いてきたほど、どれも美味しかった。とりわけ「翡翠仕立てフカヒレスープ」はなかなかの一品で、白磁の器にそら豆(?)の緑が映えていた。

 しかしこうして「温泉めぐり」のくせに、延々とホテルのサービスを褒めているのには、訳がある。
 残念ながら、温泉は「×」だった。
 大浴場と露天風呂があり、設備も悪くなかった。けれども肝心の温泉が露天風呂だけ!だった。大浴場の方はただの水道水で、四畳半ほどある露天岩風呂が、また例のごとく「循環・殺菌の湯」だった。
 いちおう表示があったので記しておくと、泉質は弱アルカリの食塩泉で、源泉の温度が28度だという。まあ沸かさなければ入れない温度なので、何らかの手当は必要だろうが、塩素くさいのはご免こうむりたい。お湯がけっこう重厚だったけれども、これがほんとうに泉質によるものなのかと疑われる。もともとカゼ気味だったので、レジオネラ菌がどうとか言う、新聞記事も頭に浮かぶ。
 ゆっくり入っている気になれない。
 奥様はけっこう満喫していた様子だったが、愚夫はこのようにバチ当りなことばかり考えていたせいか、家に帰って鰤の逆襲(ブリカエシ)を受け、翌日また発熱して、寝込んでしまいましたとさ。