晴耕






  温 泉 め ぐ り 其の一






  収録温泉
 優★★★
 「白骨温泉」  「さっさきの湯 12」   「小川温泉 12」 

 良★★
 「神代温泉」  「床鍋鉱泉」  「潮の香亭」   「民宿いけもり」

 可★
 「堀田の湯」  「高山グリーンホテル」  「桜ヶ池クアガーデン」
 「リバーリトリート 雅楽倶」  「九殿浜温泉」  「楽今日館」  「凧」

 不可
 「有磯の湯」







  




  「TAKAOKA IWATUBO ONSEN TAKO 凧」★ 20030929


 今年オープンした、高岡市岩坪にある話題の温泉「凧」へ行ってきた。 
 ここは材木問屋の若はんが建てた、今風の温泉で、ご覧の通り正面が西洋凧の形をしている。内側もかなり凝った造りで、良質の木材をふんだんに使い、いわゆる和風モダンな感じになっている。
 お湯は25.1度の単純泉(弱アルカリ性低温泉)で、微量の硫黄臭が感じられる。したがって当然、循環風呂で沸かしているが、お湯の管理が良く、塩素臭はほとんどなかった。
 露天風呂に風情があり、休憩室も完備していて、実に気持ちよく入浴できた。この日は平日で、それほど混んではいなかったが、土日はかなりの人出らしい。

 しかし聞くところによると、単純泉で25度ほどしかないのでは、温泉法上ただのお湯と変わりないそうだ。もしかしてまた泉質検査を行ったら、今度は温泉の看板を、外さなければならなくなるかもしれない。
 まあそれでも、いい湯には変わりないけれども。




  




  「楽今日館」★ 20030706


 先週、細入村へ行った帰り、神通峡岩稲温泉「楽今日館」も立ち寄った。
 ここは岐阜県へぬける山中に、ポツンとある大型の温泉施設であり、宿泊もできなかなか繁盛している。設備は新しく、広い休憩室があり、お湯に入ってゆっくり半日はくつろげる(ただ入浴料は¥600と少々割高)。
 しかし風呂場に泉質の表示もなく、典型的な循環・殺菌の湯で、温泉としてはもの足りなかった。入浴した感じでは、弱アルカリのナトリウム塩化物泉といったところだろうか。
 この日はお客が多くて、かなり塩素を投入していたようだった。でもまあ、露天風呂からながめる神通峡はなかなかの景観だし、行楽気分でお湯に入ってくるには、悪くないところだろう。




  




  「小川温泉の全貌」★★★ 20030427


 20・21日と一泊で、ふたたび朝日町の小川温泉元湯「ホテルおがわ」へ行ってきた。
 この温泉にはほんとうにいくつもの入浴施設があり、前回(→20020318)も各種の温泉を堪能した。しかし残念ながらまだ冬季閉鎖中で、あの名物の「洞窟露天風呂」(なんと天然記念物!)には行けなかった。
 また付属施設で、湯治ができる「不老館」も行っていなかった。ここは松田忠徳氏もご推薦(→「森の本棚」:『温泉教授の日本全国温泉ガイド』262p)で、小川温泉のうち最も泉質が良いという。
 そこで今回は、この2箇所にターゲットを絞り、心ゆくまで湯に浸かることにした。

 しかし、晴れ女と自称する奥様の神通力も通じず、2日とも完璧な雨模様だった。
 それでもめげず到着してすぐに洞窟風呂へ行き、食事の後で「不老館」にも入ってきた。いろいろアクシデントはあったけれど、所期の目的は達成し、ここに小川温泉の全貌を、明らかにすることができたのだった。

 【小川温泉全景】
 まさしく深山の幽谷にある、小川温泉。平地では桜も散ったのに、ここはまだ早春だった。
 さっそく目的の洞窟風呂についてフロントの係員へ聞くと、入浴できないことはないが、現在お湯が35℃程度しかなく、肌寒いのでお薦めできない、とのことだった。確かに降りそぼる雨風の中、浴衣一枚で突撃する元気はなく、ただ様子を見てくるだけにした。

 【洞窟露天風呂】
 ホテルの奥にある緑色の橋を渡って、7分ほど山道を歩くと、洞窟風呂に着く。
 三本ある竹の樋から蕩々と源泉が注ぎ込み、そのまま掛け流しになっている。 ほとんど理想的な露天風呂だった。
 お湯を口に含むと、薄い塩味で微かなイオウ臭があり、しかも山の湧き水の如きまろやかな甘味がある。辺りに人がいなかったので、たまらずズボンを脱ぎ、腰まで浸かる。やはりぬるいが、最高のお湯だった。
 ただここは混浴であり、このように無色透明なお湯なので、女性の方は専用の「蓮華の湯」へ行くべし。すると洞窟風呂は、ほとんど男湯?

 【不老館とその湯船】
 不老館は湯治を目的とした施設で、¥7,500という安いお値段で泊まれる。とうぜん自炊ならさらに安い。ただし本館大浴場へ行くには+\500必要で、本館からここへ来るのは無料、という価格設定になっている。
 
 お湯は無色透明な弱アルカリ性の炭酸水素塩泉で、掛け流しに近い。ぬめり感のある重厚な泉質で、確かにお薦めできるものだった。ただ今の時期、少しボイラーで加熱しているらしく、街の銭湯なみに熱い温度だった。 

   【本館の露天風呂】

 前回(→20020318)も書いたように、この露天風呂も他ではなかなかお目にかかれない、優れた泉質だった。それが証拠にかくの如く、浴室の岩に湯の花がこびり付いている。
 ただ飲泉すると、遠くからパイプで引いている分、やはりお湯に洞窟風呂ほど、まろやかな新鮮さがなかった。

 以上を総括し良いお湯の順に並べると、次のような分かりやすい結果とあいなりました。

  ≪泉質≫ 洞窟風呂 → 露天風呂 → 不老館 → 大浴場
  ≪設備≫ 大浴場 → 不老館 → 露天風呂 → 洞窟風呂




  




  「九殿浜温泉 国民年金健康保養センター ひみ」★ 20030412


 最近ちょっとバタバタして、書くのが遅れてしまったけれど、先週の日曜日(20030406)、「九殿浜温泉 国民年金健康保養センター ひみ」へ行ってきた。
 九殿浜温泉は地元で以前から、泉質の良いことで知られていた。ただし日帰り入浴をしていないので、今まで足が遠のいていた。しかし奥様が、4月初めに職場の歓迎会でここを使い、やはりいい湯だったとのことなので看過できず、さっそく訪れることにした。

 当日は天気も良く、朝の9時頃に昼食の予約を入れた。松花堂弁当コースを頼むと、入浴料込みで\2,000だった。個室を取ると、さらに¥1,400ほどかかるらしい。
 灘浦の海岸線を快調に走り、昼前に到着する。日帰りコースでは、9時から4時半まで滞在でき、終日ゆっくり過ごせる。
 相部屋で弁当を食べ、一息ついてから大浴場へ行った。お昼時で入浴客が少なく、のびのびとお湯に浸かることができた。ただし循環風呂で、微量の塩素臭がする。浴室前に飲泉コーナーがあり、そこの泉質が良かっただけに惜しまれる。けれどもアルカリ泉らしいぬめり感は残っており、炭シャンプーやボディソープなど、浴室の備品も心配りがされていて、気持ちよく入浴できた。

 湯上りにロビー奥の庭へ出ると、高台から虻ヶ島が一望できた。海岸を通り公園まで散歩すると、ちょっとした運動になる。それからまたお湯へ浸かり、早春の一日をのびやかに過ごして、4時頃ひき上げることにした。

   弱アルカリ泉で、少しイオウ分も含む。源泉は47.7度あり、湧出量は45リットル/分。
 微量のフッ素もあり、飲泉の際は適量を守ること。




  




  「近頃の温泉めぐり」 20030209


 今年に入って身辺に悪運が付きまとい、奥様が入院するわ、本人も風邪で寝込むわ、てんやわんやの毎日を送っている。夫婦そろって身心とも疲労困憊していたので、日本人ならこんな時はやっぱり温泉しかないと、今週2回も近場のお湯へ行ってきた。

 【潮の香亭】★★
 最初は灘浦海岸にある、岩井戸温泉(グランドホテルマイアミ)の露天風呂「潮の香亭」へ行ってきた。ここは温泉に凝りだす以前から度々入っており、まあまあかなと思っていた所だった。実はその日、名湯「さっさきの湯」へ行くと、駐車場がいっぱいでめげてしまい、仕方なく久しぶりでここに立ち寄った。
 それほど期待もせず、大きな露天風呂に浸かると、これが意外といい湯だった。ナトリウム塩化物泉で源泉は53.8℃あり、鉄分を含みかなり塩辛い。なかなか濃いお湯で、体がよく温まる。塩素臭さがなく、循環もしておらず、毎日お湯の入替と掃除を欠かさないという。この日は平日でお客も少なく、掃除のおじさんがお湯の温度を確認しながら、セッセと窓を拭いていた。
 ここは休日にひどく混むので、それさえ避ければいい湯に浸かれる。もともと設備は良い方だから、これからもたまには行きたいと思う。

 【さっさきの湯】★★★(→20020223参照)
 ところで、ふられたまんま引き下がるのでは、温泉好きの名折れなので、今日リベンジに行ってきた。どこの風呂屋も空いている昼食時を狙い、12時半頃に着くと、思った通りで日曜なのに5人も来ていない。今までで一番お客が少なく、実にいい湯だった。
 しかしこれを、酔狂と思ってはならない。先日あの「クローズアップ現代」(NHK)で、温泉施設におけるレジオネラ菌感染の実態が特集されていた。この菌は人体の外部に付着してお湯を汚染し、混雑時の入浴は要注意だと報告されていた。芋の子を洗うような状態は、精神衛生的に良くないだけでなく、病理学的にも好ましくない。
 でもこの「さっさきの湯」は、源泉で毎分980リットルもの湯量があるそうで、完全に掛け流しをしている。あの大きな宇奈月温泉でも、たかだかこの倍程度しか出ていないのだ。いかに新鮮なお湯が、常時溢れているか想像できよう。
 「潮の香亭」の露天風呂に比べると、施設の点では及ばないが、お湯の質では問題にならない。前にも書いたように少々ぬめりのある重厚なお湯で、入浴後爽快感があり、体も楽になる。やはりこの温泉が、この辺では一番だ。

【岩井戸温泉 露天風呂 潮の香亭】
 鉄分を含んだ食塩泉で、少し石油のような匂いもする。しかし温泉好きには、その臭さがうれしい。(
 
 【さっさきの湯】
 弱アルカリのナトリウム−塩化物泉で、源泉掛け流しの本物温泉。しかし外観はこのようなただの銭湯であり、シャワーすらない。それが嫌なら、「民宿いけもり」へ行くべきだろう(→20020330)。




 




 「雅楽倶へ行く」★ 20021216


 今年は日々柴太朗の世話に明け暮れ、ほとんど旅行できなかった。餌くらいは人に頼めても、なかなか散歩までお願いできず、お泊りで遠出することは見合わせていた。しかし、旅行好きの奥様がそれで引き下がるわけはなく、なんとかやりくりしてとうとう年末に、県内で1泊温泉の旅を敢行することにした。
 大沢野の春日温泉に近頃おしゃれなホテルが建ったのを、奥様が雑誌で目ざとく見つけ、さっそくインターネットで予約する。「リバーリトリート 雅楽倶」という難しい名前を冠したこの御宿はインテリアに凝っており、洋室が国際色豊かに造り分けられている。ちなみに今回は相談の結果、「ギリシャの間」というあやしい部屋を取ることにした。
 年末でひどく道が混み、2時間もかかってようやく4時頃ホテルに着いた。少々イラついた神経を、ウエルカム・ドリンクの抹茶が癒してくれる。それから部屋で一休みして、さっそく気合を入れ温泉へ行った。
 大浴場の設備やインテリアはなかなか上出来で、湯桶や椅子まで木製だった。しかし浴室に入ったとたん、例のさわやかな塩素の匂いが鼻につく。やっぱり循環・殺菌の湯かと、少し落胆した。いちおう成分も表示されており、弱アルカリの食塩泉で、いわゆる美人の湯に類する。ところが塩素殺菌のせいで、泉質の効能が発揮できず、湯上りに肌が乾き、カサカサしてしまった。残念ながら、ほんとうの温泉ではなかった。ただし夜の食事は県内でもトップクラスで、懐石風のフルコースを久しぶりに堪能した。
 総じて「雅楽倶」は、どの施設も調度に細かい神経が配られており、ホテルとしてはかなり質の高い方だと思う。部屋も17室程度で、こじんまりと落着いた良い御宿だった。

  
 【雅楽倶の全景と大浴場
 クリスマス前で、このようにそれらしくデコレーションされていた。夜になると、はでなイルミネーションが灯る。お湯の管理に問題があるとはいえ、なかなか雰囲気ある浴室で、設備も良かった。




 




 「久しぶりの温泉巡り」 20020612


 連日35℃以上の酷暑が続き夏バテ気味だったので、海水浴に行こうと思ったら、朝から雨だった。そこで仕方なく室内で遊べる所をインターネットで調べたら、城端町に最近できた「桜ヶ池クアガーデン」が良さそうだった。福光インターからすぐらしく、40分ほどで着きそうなので、お昼を食べがてら久しぶりに温泉へ入ることにした。
 雨の日のドライブも悪くなく、快調に愛車を飛ばすと、正午頃にはもう目的地へ降り立っていた。さっそく館内を探索し、レストランでランチを食べる。ここはオーガニックな食材が自慢で、前菜のサラダからして他とは違った食感をしていた。値段も割安で、食事はけっこう美味しかった。
 それから目的の温泉施設へ向う。温水プールも併設していて、入浴のみで¥500・プール込みで¥1,500だった。予想どおり温泉へ一歩入ると、プーンと塩素の匂いがする。内風呂・露天風呂ともしっかり循環しており、これでは泉質など確認する気にもならない。ただまあ久しぶりの温泉だったし、このごろ暑くてシャワーばかりしていたので、ゆったりと1時間余り気持ちよく入浴していた。ああ〜極楽極楽。
 要するに、温泉は水準以下にしろ設備がよく、一日ゆっくり遊んでくるには絶好の施設だった。桜ヶ池周辺には他にも遊び場があり、ハイキングをしても楽しいだろう。またいつかゆっくり来たい。
  【桜ヶ池クアガーデン】★
  このように西欧的な外観 で、あか抜けた佇まいをしている。内装もちょっと凝っており、越中の片田舎にしては、上出来の施設。ランチもなかなかのものだった。
 ただし温泉は循環風呂で塩素殺菌しており、湯上りに肌がカサカサする。




  




「近況報告」 20020330


 例年よりかなり早く春の足音が近付き、桜の蕾もふくらんできた。しかしあい変らず、飽きもせず温泉巡りを続けており、最近は次のところへ出掛けた。

21日 指崎温泉・民宿いけもり ★★ (\500)
 「さっさきの湯」(\350)が銭湯のようでありながら、本物の温泉だったので、民宿の方へも行ってみた。しかし設備が良い分、浴槽のお湯はしっかり循環しており、水も加えてあるようだった。ただ敷地が広く、ゆったりと温泉気分を満喫したい時、ここは氷見で最良の部類に属するだろう。「さっさきの湯」へも歩いて数分で行ける。

24〜25日 高山グリーンホテル
 「雛祭り御膳」の割引が当り、再び一泊してきた。ここは大浴場2箇所に露天風呂が完備しており、ホテルとしてはお風呂に力が入っている。しかし所詮、循環・水割・塩素殺菌と三悪拍子が揃っており、設備が良くてもあまり感心しない。ただユニット・バスに比べるなら天国で、高級な銭湯に入っていると思えば笑って許せる。概して感じの良いホテルであり、高山へ行く際は常宿になりつつある。

30日 神代温泉 ―本日―★★
 そうして今日は再度、神代温泉へ行くのだった。泉質にかなりクセがあるけれど、やっぱり源泉100%・流し放しには敵わない。剥き出しの鉄管から、蕩々と迸るお湯は絶品だ。幸せである。




  




 「温泉巡り(5)―富山の名湯・小川温泉」★★★ 20020318


 年明けからずっと糊口の仕事で一山あり、目が回るような忙しさだった。夜遅く家へ帰るとくたびれはて、とてもホームページの更新まで手が出なかった。ようやくそれも一段落し、いつもの生活が戻ってきた。
 しかしそれ位で疎かになる程度の温泉好きではない。先週の日・月としっかり一泊二日で、朝日町の小川温泉へ行ってきた。ここは質の良いお湯が出て湯治もできる、県内では珍しい本格的な温泉場であり、深い山中の一軒宿だという。直通の道路が出来るまでは、文字通りの秘湯だったらしい。

 当日のどんよりとした天気などものともせず、高揚した気分で高速を1時間ほど飛ばし、朝日インターで降りる。それから山に向かって走ることおよそ20分、長いトンネルを抜けるといきなりお宿に着く。あたりに多く雪が残り、小川はまだ冬模様だった。出はじめのフキノトウをいくつか摘み、部屋に入ってお湯へ向う。


 1階の大浴場は現代的なはやりの造りで、循環風呂かと疑うほどだった。けれどもお湯は浴槽からヒタヒタと流れ、係員が定期的に湯温を計りに来ていた。無色透明の炭酸水素塩泉でさらっとしており、ソツのない温泉だった。横の檜桶露天風呂にはジェットバスが入れてあり、ぬるめでいつまででも浸かっていられる。なかなか良い湯だった。

 しかしこれでお終いなら、名湯とは言えない。まあまあかなと思いながら、一息して再び露天岩風呂へ行く。ここには洗い場がなく、ただ浸かるだけの岩風呂で、さして期待もせず入ると驚いた。全然泉質が違う。こちらはややぬめりがある重厚なお湯で、周りの岩にびっしりと湯の花がこびりついていた。飲泉用のコップも置いてあり、口に含むとかすかな塩気があって飲みやすい。
 ほど良い温度のお湯に浸かり、チビチビ飲泉していると、なにか心から疲労の塊が落ちて行くような気がする。またひとつ、本物の温泉に出会えた。




  




 「温泉巡り(4)―名湯・さっさきの湯」★★★ 20020223


 ここのところ毎週律儀に温泉巡りをしており、氷見の代表的なお湯は一巡した。
 今日行って来たのは、灘浦の指崎(サッサキ)にある「さっさきの湯」で、10数年前に開湯した比較的新しい温泉だ。見かけは銭湯以外の何ものでもなく、番台で料金(\350)を払い湯に浸かる。旅行案内などに全く載っていない村の出湯で、幹線道路から外れた山裾にある。口コミで氷見随一の湯だと聞き、数年来いつか行ってみたいと思っていた。
 泉質は弱アルカリのナトリウム−塩化物泉で、少し塩気とぬめりがある。硫黄や鉄分も含まれているらしく、やや濁った緑褐色のお湯だった。しかし何より嬉しいのは、源泉で50度近くあり、流し放しで加熱も循環もしていない。まさしく本物であり、名湯といっても過言でない。施設は少々古びているとはいえ、ペットボトルにお湯を汲んで行く人まであり(黙認らしく無料)、村の共同浴場としてよくはやっている。なんとも良い気持で入浴できた。









 「温泉巡り(3)―山の出湯・床鍋鉱泉」★★ 20020216



 【奥様談】
 降水率0%の、2月にしては、珍しくきれいな晴天であった。かねてより予定の、床鍋鉱泉に出掛けた。夫は連日の残業と、重い本を運ぶ肉体労働で腰を痛めており、この日を待ちわびていたのである。
 さて床鍋鉱泉だが、地理的なことは疎いのではしょるが、やたらと曲がりくねった山道を抜けて、行き過ぎたかな?と思ったところにひょっこりと現れた。入り口の前には鯉のいけすがあり、玄関には狸の剥製が二匹も飾ってあった。お湯は無色透明で、肌がつるつるして気持ち良かった。窓の外には灯篭や、石の蛙などもいて目を楽しませてくれる。
 源泉は湧水で、15℃くらいのアルカリ性低張性低鉱泉(?)だった。カランは4つで、広いとは言えないが、今日は空いていたためゆっくりできた。ロビーで待ち合わせもでき、その点でもマルである。私の評価は、今のところ氷見一かな。夫の評価はどうですか?

 【愚夫談】
 今日は明治の頃に開湯された、由緒ある床鍋鉱泉へ行ってきた。ここは看板こそ「鉱泉」でも、泉質から言えば立派な温泉であり、ただ少々水温が低いだけなのだ。
 里から少し離れ、曲がりくねった山道沿いにある鄙びた御宿へ入る。こじんまりしたロビーで入浴料(\500)を払い、湯船に浸かる。冷泉なので循環加熱しているとはいえ、アルカリ性の含重曹弱食塩泉で、ぬめりがありしっとりしている。浴室からは苔むした小庭も見えて、ゆったりとした気分になる。なかなか感じの良い、山の出湯だった。
 これで神代温泉ほど湯量が多ければ名湯になるのに、などと勝手なことを思いながら、雪の残る山里を後にし、30分ほどで家に着く。けれどもぜんぜん湯冷めせず、体はホカホカのままで、腰の痛みもすっかり消えていた。




  




 「温泉巡り(2)―氷見の秘湯・神代温泉」★★ 20020210


 今日は温泉巡りの第2弾として、高岡市との境にある神代温泉へ行ってきた。 地元では最も有名な温泉のひとつに数えられ、昭和の末頃まで氷見の温泉といえば、まずここが挙がった。ただその余りに特徴ある泉質(含炭酸鉄強食塩泉)のため好みが分かれ、万人向けとは言い難い面がある。しかしここは自噴する豊かなお湯が売り物で、温泉の質そのものからすれば、かなり期待がもてそうだった。

 2月には珍しい穏やかな日に恵まれ、雪もそれほど積もっておらず、、家から15分ほど車を飛ばして神代温泉へ着く。古びた民宿風の玄関に入ると、誰一人として客はおらず、まったくの貸切状態だった。さっそく入浴料(\500)を払って浴室へ向う。
 設備こそ老朽化しているものの中はけっこう広く、何より嬉しいことに、剥き出しの鉄管から勢いよく迸るお湯が、浴槽に溢れていた。まさしく本物の温泉だった。
 湯船の脇には飲泉用のお椀が置いてあり、ひと口含むと海水ほどの塩分があって、飲み下すにはちょっと辛かった。また噂通り鉄分でタオルが黄土色に染まった。
 それだけ効能もあると言うもので、近くにこんな秘湯の如き温泉があるとは今日まで知らなかった。
 これからはしばしば訪れて、浮世の疲れを癒すことにしよう。
  




 




 「温泉巡り(1)」 20020203


 1月の終り頃から寒波が居座り、やっと北陸の冬に恥ずかしくない程度の雪が降った。しかしそれも溶けはじめ、今日は雨模様だ。冬場は山歩きができないので、最近は近場の温泉を巡り歩いている。

 ◆「有磯の湯」
 まず、駅前にある「有磯の湯」へ行った。去年できたばかりの大きな公共浴場で、数ある湯船の中に「光明温泉」と称されるお湯がある。しかし所詮、銭湯に毛が生えた程度のもの(入浴料450円)で、塩素臭くお湯もしっかり循環している。湯上りに肌がカサカサしてしまった。まだしも町内にある銭湯「和倉の湯」(350円)の方が、安くてお湯の質も良かった。

 ◆「堀田の湯」
 そのカサついた体を癒すべく、今日は「堀田の湯」(350円)へ行った。ここはほんとうに温泉が出ており、昔は湯治もしていたらしい。かなり強い食塩泉で、体がよく温まる。ただ惜しむらくは湧出量が少なくお湯を循環しており、浴槽も3人くらいしか入れないほど小さかった。しかし入浴後なかなか湯冷めせず、肌もしっとりしている。やはり大きな銭湯といえども、小さな温泉の敵ではないと痛感した。









 「温泉の本」 20020118


 旅行へ行けず、近頃は本ばかり読んで無聊を託っている。温泉に関して面白いことを言っている、松田忠徳という人の著書をいくつか読んだ。彼によれば現代日本の温泉は、循環風呂により極めて深刻な打撃を受けているという。
 温浴効果の高い自然湧出のお湯を、そのまま使っている本物の温泉は、今めっきり少なくなっている。そうして銭湯より性質の悪い、使い古しのお湯を浄化しただけの、似非温泉ばかりがブームに乗って林立しているそうだ。その現状を明らかにするため、全国の温泉に実際浸かり、体で調査した成果に基づいて警鐘を鳴らしている。その数なんと4,000湯。ここまで温泉に入れ込んだ男など、日本で他にいないのではないか。何事でも一途にやる者には、頭が下がる思いがする。




 




 「あの白骨温泉」★★★ 20011123


 18日(日)・19日(月)・20日(火)と、代休がうまく繋がったので、飛騨・高山方面へ温泉旅行に行ってきた。あの乳白色のお湯で有名な白骨温泉を目的地とし、ついでに高山まで足を伸ばした。
 この温泉については、まったく言葉を失う。一度実際に、白濁し淡い青緑を帯びた、複雑な色合いのお湯に入ってみない限り、まさしく俗塵が洗い流されるような、あの感覚は分かってもらえそうにない。
 多少お湯がぬる目で、露天風呂はいささか寒かった。翌朝外気は氷点下になり、雪も降らないのに氷柱が出来ていた。しかしそんなことなどものともせず、なんと一泊で3時間近く、ただひたすらお湯に入り浸っていたのだった。他ではまったく考えられないことだ。

 上高地の紅葉はとうに済んでおり、全体的には寒々とした初冬の風情だった。けれども白樺林や清らかな渓流、また新雪を頂いた2000mを超える山々など、漁師町に住みたまたまコケ採りで里山を歩く程度の者には、実に新鮮な光景だった。
 ほんとうに、病みつきになりそうだ。