晴耕





       迷 犬 柴 太 朗
             2006
                        −推定5歳−



                    












  「冬支度」 20061120

 霜月も下旬になり、実際に霜が降りるような気候になった。立冬が過ぎ、文字通り冬になったと言って差し支えない。
 人間様の方は、朝夕の冷え込みにストーブが欠かせなくなっているが、柴太朗もそろそろ冬支度が必要になった。
 奴は北海道犬の血が混じっているはずなのに、寒さが嫌いで、冷え込みが厳しくなると、あたり構わず鳴きまくる。先週の日曜だったか、放射冷却で5度を切った夜、9時頃からあま鳴きし続けた。しかたがないので、翌日ホームセンターへ行き、例年の通り、莚を買って来た。それからついでにペット・コーナーをひと回りすると、なにやら暖かそうなマットが売っていた。

 「ほかほか速暖マット・エレガント」という。
 商品紹介によれば、「電気を使わなくても、マットの上に乗るだけで暖かいペット用マット。マットの裏面はスベリ止め加工を行っているので、マットがズレにくい。また、汚れても部分洗い可能なので、清潔に使用できる。使用する場所に合わせて簡単にハサミ等でカットできるので非常に便利」らしい(詳細はこちら)。

 なかなか使い勝手が良さそうで、即お買い上げとなった。
 柴太朗は藁製品以外の物が犬小屋にあると、必ず引き出してボロボロにするため、上に莚を敷き、下にマットを忍ばせた。さらに例年同様いろいろセットし(「冬対策」20031223参照)、周辺を掃除して、犬小屋も元通りにしてやると、奴はさっそく中にもぐり込み、ぬくぬくしていた。まあ気に入ってくれて、良かったとしよう。
 かくの如く、今年も無事に冬支度が終わった。やれやれ…。







  「近況について ― 続・小脱走」 20061016

 先週とうって変わって、秋晴れの良い天気が続いている。
 しかし慢性疲労気味のせいか、なかなかカゼがすっきり治らない。時折、痰のからんだイヤな咳が出て、体もだるく、もうひとつ調子が良くない。家族は概ねそうした様子なのだが、ちなみに柴太朗はどうかというと、こちらもちょっとした事件があった。

 体調が最悪だった一週間ほど前のある晩、早く布団に入りたい一心で職場から帰宅したら、玄関脇になにか小動物が潜んでいた。また野良猫でも迷い込んで来たんだろう思い、追い払おうとしたら、シッポを振って近付いてきた。
 「えっ、なんでこんなところに柴太朗が…」
 わずかに残っていた反射神経で、とっさに奴の首輪をつかみ、そのまま玄関へ入って、奥様に犬小屋まで連行してもらった。彼なりにお出迎えしてくれたのだろうけれど、TPOが悪すぎる。ただいちおう無事に納まるところへ納まったのだから、別に叱りもしなかった。
 しかし、なにが原因で鎖が外れたのか。奥様は早朝散歩の後で、ちゃんと鎖に繋いだという。まさか新たな鎖抜けの術でも、あみ出したのだろうか。でもそれから今に至るまで、脱走を重ねておらず、やはり飼い主側のちょっとしたミスだろう。

 これまでの前科(→20020914・20040226)からすると、鎖を抜けた後は、朝日山方面へ逃げる。しかし公園の方はまだしも、氷見高校側は意外と交通量が多い。少子化の影響か、近頃の高校生は朝夕、親御さんが送り迎えする。そのため高校から国道へ抜ける道は、ある時間帯になると車が数珠繋ぎに走り、通学ラッシュとなる。
 向こうっ気の強い柴太朗は、自動車が来ると飛びかかるので、そんな時間に散歩するとひどく危険だ。
 これまでの経験から、人に危害を加える心配のない奴だから、たまに逃げてもご近所へ頭を下げれば済むことだ。しかしつかの間の自由に舞い上がって、交通事故にだけは遭ってほしくない。
 これだけは、後でよくよく言って聞かせる必要がある。まあ話の分かる奴ではないが、事が事だけに、気合でこちらの意志を伝えるしかない。







  「大掃除」 20060806

 「徒然雑記」の「はじめての入院」(20060801)に書いた通り、幼い息子が喘息にかかったことを受けて、さっそく柴太朗の犬小屋周辺を、大掃除することにした。
 ところで「久しぶりの柴洗い」(20060514)に書いた通り、春先から抜け毛がひどくなり、ゴールデンウィーク中に、思い切って「柴洗い」を敢行していた。
 しかしながら、しょせん素人が思いついてやるような仕事では、根本的な解決にならなかったようで、とうとう息子は喘息のため、入院するはめになってしまった。
 そこでまたいつものペットサロン「パピーくらぶ」にお願いし、頭のてっぺんから尻尾の先まで、プロの仕事できれいにしてもらうことにした。

 ところがこの日は、時節柄たいへん混んでおり、3時を過ぎないと順番が来ないらしい。けれどもそんなことで計画を変えるわけにいかず、
「まあ一日預けても、料金は変わらないし…」
などと不純なことを思いつつ、午前中お買い物へ出たついでに、柴太朗も乗せて行った。
 「パピーくらぶ」は大繁盛で、しばらく来ないうちに助手まで雇い、せっせと仕事をこなしていた。久しぶりで車に乗せてもらったのに、着いたのがここだから、柴太朗は不満気だったけれど、別に暴れることなくお店へ連れられていった。

 それから家へ帰ってお昼を食べ、息子と奥様が寝付いた頃、おもむろに犬小屋の清掃を始めた。
 厳重にマスクをして、盛大に水を流し、徹底的にブラシでこする。予想はしていたけれど、柴太朗の行動範囲は毛だらけで、竹箒などを使っても掃き切れるものではなかった。結局、シャベルで毛の混じった玉砂利を掘り、そのまま棄てるしかなかった。おかげさまで庭の一部は土がむき出しになり、著しく美観を損ねることになったが、息子の健康には代えられないだろう。
 夕方6時頃、ようやく帰ってきた柴太朗は、見違えるような毛並みになっていて、どこぞの良いご家庭で飼われている愛犬のようだった。いちおう、一件落着といったところか。

 しかし後日、喘息の検査結果を見たら、アレルギーの原因について、「ハウスダスト」と「家ダニ」が陽性、犬の体毛は陰性とあった。室内のホコリが問題であったわけで、外飼の柴太朗は濡れ衣を着せられたことになる。この点は素直に反省し、今後家中の清掃に励まなければなるまい。
 ただまあ、ペットの毛が幼児の健康に良くないのは定説なのだから、抜け毛の多いこの時季、大掃除しておいて正解だったと思う。







  「カルドメック・チュアブルとは」 20060703

 「徒然雑記」(20060626)に詳しく書いた通り、6月はインターネット環境移行に追われ、通常のHP更新が滞ってしまった。これからはまたぼちぼち定期的に、新しいネタを掲載したい。

 さて、例年蚊が騒ぎ出す5月頃、柴太朗の健康診断に行っている。
 愛犬家の義務である、狂犬病の予防接種を受けた後、健康上気になる点のアドバイスもしてもらっている。彼は野山を放浪していた前歴があるので、これまでフィラリアの検査を厳重にしていた。しかし今まで何度も診てもらい、異常がないので、もう心配しないで良 いだろう。
 ふつうのご家庭で外飼いされている犬同様、フィラリアの薬さえ定期的に与えていれば、健康上なにも問題はない。

 ところが今回、予防接種へ行ったところ、柴太朗の体重が15キログラムを越えたので、フィラリアの薬を変える必要があるそうだ。どうせ割高になるのだから、服用しやすい新製品はどうかということで、今回「カルドメック・チュアブル」という薬にした。
 「カルドメック」のHPによれば、

◆犬糸状虫症予防・消化管内線虫駆除剤
「カルドメックチュアブルPは、月1回投与することで、犬フィラリア症を予防すると同時に、お腹の虫(回虫や鉤虫)を駆除することができるフィラリア症予防薬です。
また、カルドメックチュアブルPは、与えやすいチュアブルタイプ(フードタイプ)の薬なので、薬の投与が苦手な犬や飼い主の方でも、ストレスを感じることなく投与することができます」
ということらしい。

 外観は、おやつ用のソフト・ジャーキーといった感じで、なるほどおいしそうだ。毎月15日にやらなければならないので、6月15日の夕方に与えることにした。
 食いしん坊の柴太朗は、いつものようにぺろりとご飯を平らげた後、おもむろに出した「カルドメック・チュアブル」を見て目の色を変えていた。食事前の「マテ」をかけて坐らせ、食器の横へ置くと、その臭いをかぎ、いきなりくわえて、外の様子をうかがっていた。
 やばい!これは「ホリホリ」(20040724)の前兆だ。
 即座に彼の体を押さえ、その場で食べさせると、一口で2×1センチ角の肉片らしき薬を飲み込んだ。めでたし、めでたし(?)
 しかし割高だった動物病院のレシートを眺めるとき、ただでさえ軽い財布に紙切れ一枚残らなくなり、ため息しかでないのだった。

 
【割高だった今年のレシート】

    泉沢動物病院

   氷見市柳田××××-×
     пi0766)91-××××

    2006-05-29 11:10


 キョウケンビョウ 非  ¥3,000
    6点  @1,800
 投薬料      ¥10,800
 外税対象     ¥10,800
 消費税等  5.0%  ¥540
 非課税合計    ¥3,000
 合   計    ¥14,340







  「久しぶりの柴洗い」 20060514

 ほんとに寒かった季節もようやく終わりを告げ、数日前、富山で今年初めて夏日が記録された。それでも雨の日などまだ寒く、暖房器具をしまうことができない。
 しかし冬の間は、それほど気にならなかった柴太朗の体臭が、春の陽気と共に、かなり鼻につくようになってきた。またわが息子は、無類のワンワン好きであり、すきあらば柴太朗にさわろうとする。脱け毛の多いこの時季、ちっちゃい子の健康を考えるなら、気は重いが親として、例のことを行わないわけにいかない。
 「柴洗い」である。

 
   【心底ほっとした表情の柴太朗】

 前回、はたしていつ行ったか定かでない。2003年の4月7日に確かにやった記録はあるが、まさかこれが最後ではないだろう。
 実は氷見にペットサロン「パピーくらぶ」ができて以来、ついつい楽を覚え、旅行でお泊まりの際、ついでにシャンプーをお願いしており、自前で洗ってやることがめっきり減った。しかし今年のゴールデン・ウィークは、いろいろあり、旅行にでられなかった関係で、そろそろ限界になった。

 連休最後の日、陽気に恵まれ、午後意を決して「柴洗い」を敢行した。
 退路を断つため、犬小屋を移動させておいたので、逃げ場を失った柴太朗は、ほとんど抵抗せず、なすがままになっていた。あんなに気の強いヤツが、しっぽを丸めふるえていた。まあ春になり盛りがついたのか、吠えまくっていたから、良い薬だろう。

 金だらいにお風呂の残り湯を入れ、否応もなく首輪を引きずりシャンプーをかける。
 ヤツはもしかして、とうとう犬鍋にでもされると思ったのだろうか。異様におとなしくて、力抜けするほどだった。まあ安心しなさい、やるならもう少し肉の柔らかい子犬の頃にやっている。
 しごく順調にことが運び、30分程ですすぎも終わり、毛を拭いてやることができた。これでしばらく「柴洗い」をしなくてもいいだろう。少々不本意だった、今年の大型連休を締め括る、大仕事だった。











  「厳冬期の散歩について」 20060212


 もう立春が過ぎて、寒気もようやく緩んできた。毎朝7時頃、柴太朗と散歩する際に、しばしば雨が降ることもある。
 真冬の7時といえば、ちょうど日の出頃であり、一日で最も寒い時間帯となる。それが今年は豪雪のせいで、ことのほか寒く、なかなか厳しいものがあった。平日担当の奥様は慣れたもので、積雪があり足もとの悪い時季になると、さっさと平地コースで切り上げる。しかし休日担当の愚夫は、犬とわが身の運動不足を憂慮して、あくまでお山コースにこだわっている。
 そのためこのような厳寒期には、種々の危険が待ち受けているのだった。

【危険度 低】 積雪
 50cm近く積雪があると、歩道など通れなくなり、狭い道を人と車がすれ違うことになる。ただでさえ足が埋まり歩行困難なのに、雪に浮かれた柴太朗は、強烈に綱を右左と引っぱるので、危険が増す。ほんとうに雪が好きな奴で、困ったもんだ。北海道犬(?)の特徴だろうか。

【危険度 中】 アイスバーン
 今年のような厳冬になると、夜は吹雪になり、朝はアイスバーンが現れる。これは路面の圧雪が氷のようになった状態を言い、スノー・タイヤをはいていてもスリップを起こす。よく道の状態を見て注意しなければ、歩行者でも転倒する。とりわけ下り坂でのアイスバーンは危険であり、今年これで散歩中に何回足をとられたか分からない。ただアイスバーンは、足もとに気をつけていればまだ見分けられるので、転倒には至らなかった。

【危険度 高】 氷結
 1月終わりになって、日照時間が長くなり、雪が少々溶けると、今度は氷結の恐れが出てくる。除雪された道路などで、雪解けの水が流れ、夜中に凍り付く。これが朝方まだ暗い内は、路面と透明な氷を識別できず、足を乗せたとたんに滑ってしまう。四つ足の柴太朗ですら、この氷結した路面ではツルツル滑っており、人間などひとたまりもない。恥ずかしながら今シーズン、これで2回は転倒した。大した怪我にならなかったのは、幸いとしなければならない。

【危険度 最高】 氷結後の新雪
 大寒の頃のある朝、氷結した路面に新雪が降った。氷結は晴天で放射冷却した朝に起こり、ふつう雪が降っていれば零度前後に保温されるので、道がカンカンに凍ることはない。しかしこの日は夜明け頃、急に雪が舞って、氷結した路面がまっ白になっていた。どこに氷があるかまったく分からず、まるで地雷原を歩くようなものだ。これでは滑らない方がおかしく、軽めのコースを選んだにもかかわらず、お山をひと巡りする内に、2・3回も転んでしまった。ホントにこの日は、散歩していて身の危険を感じたものだ。軽い打撲程度で済んだのは、幸いとしなければならない。

 以上のようにこの冬、身の危険を冒してまで、一日も欠かさず毎朝の散歩を敢行していた。この頃、育児にかまけてあまり面倒みてやっていないとはいえ、まだまだわれわれの愛犬精神は、捨てたものではないと自負している。