晴耕




   
      迷 犬 柴 太 朗

             2004
                        −推定3歳−



                    












  「犬小屋修理」 20041031


 このところ実に色々ありまして、のんきに柴太郎ネタを書いている心の余裕がなかった(「徒然雑記」参照)。ようやくちょっと落ち着いてきたので、半月ほど前、果敢に実行した犬小屋修理の顛末を記しておきたい。

 ご存知の通り、柴太郎は向こう意気の強い元気な奴で、これまで破壊したおもちゃの数には、はかり知れないものがある。ほとんど手当たり(口当り?)次第に、なんでもかじって退屈をしのいでいるようだ。
 これは自分の体を保護してくれる品物についても同様で、タオル・毛布・むしろは言うに及ばず、せっかく買ってやった「ペット用あったかマット」(→20040201)まで無残に引きちぎられていた。大事な犬小屋に対しても狼藉の限りが尽くされており、かじれる部分はつぶさにかじった挙句、毎月のように一枚また一枚と、側板が剥がれ落ちていた。
 いったいどんな寝方をしとるんや、コラ!
 
  【無残な犬小屋とおバカな犯人】
 結局、半年ほど前の春頃までに、庭側の板がすべて落ち、ほぼ全面に風穴が開く体たらくとなっていた。通常、犬小屋にはおとなしい愛犬が入るものらしく、側板も細い釘で軽く止めてある程度だった。奴も本気で壊したわけでなく、ベニヤ板が折れるほどでもなかったので、修理しようと思えば、すぐできた。
 まあその時は向暑の節で、
「風通しが良くて、なおさらいいか」
ということになり、ビニール・シートを被せ、しばらくしのぐことになった。
 また多忙な愚夫の皮算用では、
「こんなもん直すより、買った方が早い」と心の底で思っていた。
 しかしDIY心に燃える奥様は、犬小屋の新規購入に断固反対し、鶴の一声で「直せ!」と命じられる。昨今の不況で給料カットの憂き目に遭っている愚夫に、返す言葉はない。
「でも直すとなると、木ネジで締めないとね〜」
などとグズグズ言っている内に、秋も深まり冬支度が必要な時期になってきた。

 前置きが長いが、そしてようやく10月半ばのあるよく晴れた休日に、意を決して犬小屋の始末を決行した。
 恐れていた通り、ネジ止めの必要なところが、側板一枚に付4か所あり、10枚分で計40本となる。当然わが家に電動工具などなく、これをえっちらほっちらとプラスのドライバーで締めて行った。すぐ手が痛くなり、体中から汗が噴出す。
 また犬小屋を動かすと、下は毛だらけホコリだらけで、喉まで痛くなってきた。急いでマスクを付け掃除してから、果敢に作業を再開した。2時間程で疲労困憊しながら、めでたく犬小屋は頑丈にリフォームされた。

 数日して、あの台風23号が襲ってきた。
 
  【頑丈にリフォームされた犬小屋】
 本宅の雨漏りをよそに、犬小屋だけはビクともしていなかった。
 しかしその折り、喉をやられた愚夫の体調が崩れ、季節柄カゼも流行っており、調子が戻ってこなかった。その後も色々ありまして、とうとう数日前に発熱し、医者にかかってようやく今日、パソコンが打てるほどまで快復したのでしたとさ…(涙)。









  「毎日の散歩」 20040821


 まったくの猛暑だった8月も、お盆を過ぎてようやくしのぎやすくなってきた。
 しかし19日など、台風の影響で最高気温が37度を越え、息もたえだえになるほどの暑さだった。さらに日が暮れてから、風速20m近い暴風が吹き荒れ、このクソ暑い夜中に、窓すら開けられなかった。
 これではさすがに眠れそうもなかったので、今年初めてクーラーをガンガン入れ寝ることにした。猛々しい風音に度々起されながらも、少しは眠りにつけたようだ。

 けれどもかくの如くひどい天候でも、柴太朗の散歩は毎日欠かさず行われている。
 夏場はさすがに日中を避け、夕暮時を狙って行くのだが、この時間帯は夕飯の準備や赤ん坊の世話などもあって、なかなかハードなスケジュールになる。他の家では、ここらでちょっくら愛犬を運動させてやろうか、などとゆとりある態度で楽しくお散歩するのだろう。しかしわが家では、きびしい時間をやりくりしながら義務としてせかせかお散歩している。飼主も飼犬も目を吊り上げて、競走でもするかのように朝日山界隈を、ひと巡りしてくるのだった。
 それで最近、柴太朗の目つきも険しくなり、かの朝日新聞連載の四コマまんがに出てくる、「ポチ」に表情が似てきたような気がする…。

 
  【水道の蛇口から上手に水を飲む図】
 それでもまあ昔に比べれば奴も上達したもので、散歩に余計な手間がかからなくなった。
 当初は飼主も慣れておらず、雨の日など濡れてカゼをひかないよう、色々気を配っていた。今では犬の脂ぎった体毛が雨など通さない(蓑と変らない)ことを知り、台風の通過中でもない限り、傘一本持ってサッサと出かける。
 また夏場など、犬用の水筒とコップを持って、水分補給に神経を使ったものだった。近頃は写真のごとく、柴太朗が直接、水飲み場の蛇口から飲めるようになって、そんな装備などまったく不要になった。
 このように若干の進歩はあるとしても、あい変らず気の強い犬であり、リードを引っぱりまくり、横道に入るなど、飼主をなめ切った態度で散歩している。かつて躾の本にはまり、リーダー・ウォークなどと言うものもしてはみたが、ほとんど効果がないので、もう放任状態になっている。
 後は歳をとって、性格が丸くなるのを待つしかないのかもしれない。









  「ホリホリ」 20040724


 22日に梅雨が明け、本格的な夏が始まった。少なくともこれから8月初頃までは、猛暑が続くだろう。関東では、最高気温40度〜最低気温30度という、国籍を間違えたかと思うような天気になり、すでにみなさん夏バテ気味だそうな。
 富山はそこまで行かないにしても、空梅雨で最高気温が35度を超えた日も多く、すでにじゅうぶん蒸し暑かった。この先、どんな夏になるのやら…。

 かくの如く暑苦しいこともあって、このところ柴太朗の機嫌がひどく悪い。
 毎朝7時には、ラジオ体操帰りに横を通る人へ吠えかかり、毎晩7時には、早くご飯を持って来いと鳴きわめく。散歩の時もむやみにリードを引っぱり、ブラッシングしていると手を噛んでくる。終日外から家族の動静を窺って、ちょっと物音でも立てると居場所を察知し、出て来いと吠える。いつも体中からイライラとしたオーラを発し、うかつに近寄ったら猛然とじゃれついてくる。
 まあ、かまって欲しいのは分るけどねぇ。

 しかし今の季節、正直言って犬には触りたくない。見るからにフサフサとしていて暑苦しいし、次々抜け毛が落ちて服を汚す。でもかまってやらないと、夜中に鳴きわめいて近所迷惑だから、時折おためごかしにオヤツなどやってなだめている。
 先日、商品名は忘れたが、愛犬用でよく見かける骨型のオヤツをやったら、本物と間違えてか、穴を掘りはじめた。周知のように犬は穴を掘って物を隠す習慣があり、しぐさがおもしろいので、かねがねいつか写真に撮ってやろうと目論んでいた。しかしデジカメはすばやい動きを捉え難く、いつも失敗していたが、去年買い換えた一眼レフ機は作動が早く、やっと決定的瞬間を撮ることができた。
 ふふふ、証拠写真を撮られているとは知らず、間抜けな奴め。後で掘り起こしてやろうっと。
 
   【穴掘りにはげむ柴太朗の図】









  「ご機嫌ななめ」 20040704


 最近、柴太朗の機嫌が悪い。この時季、ただでさえ暑くて不快なことはとうぜんとしても、なにか含んだ目つきで家族を見つめ、頻繁に吠えまくっている。昨日も深夜、気にくわないことがあったらしくて、しばらく鳴きわめいていた。ご近所迷惑な奴…。
 まあ幼いわが子にかまけてばかりいて、ケアが少ないせいかとは思うが、こればっかりはどうしようもない。お互いなんとかしんぼうし、息子が犬と遊べる年頃になるまで待つしかなかろう。
 ところで彼は男の子らしく、柴太朗に興味津々だ。何度も吠えられているくせに、犬小屋の近くへ連れて行くと、ジッと犬を見つめてあきがこない。ぐずっている時でも、犬を見ると泣き止んでしまう。これはもしかすると、柴太朗の世話を手伝わせる日も近いかと、あわい期待が胸をよぎる。

 ところで今年は、やはり空梅雨のようなので、そろそろ柴太朗の夏対策に、例のごとく簾を吊ってやることにした。蚊取線香はもう毎晩焚いているし、フィラリアの薬も飲ませている。比較的おとなしい晩ご飯時には、ブラッシングして冬毛を抜いてやっている。
 これでも柴太朗はご不満の様子で、あたりにわめき散しているのだった。
 つい油断し、エライ性格の犬に育てたもので、つくづく反省している。









  「予防接種」 20040501


 今年もそろそろ暖かくなり、蚊のヤツが騒ぎだしそうなので、柴太朗の健康診断を兼ねて、予防接種へ行くことにした。
 お役所の方からも通知が来ていて、狂犬病の接種は非課税(実質値引)になるらしい。しかし日本犬最大の敵であるフィラリア予防薬に対しては、なんの優遇措置もない。つまりこれは、人へも害の及ぶものならめんどう見るが、そのあと犬自身はどうなろうと知らん、ということらしい。
 愛犬団体の皆様、どうかこの点をよくお考えの上、請願運動を起して、フィラリア予防も値引になるよう制度化をはかっていただきたい。
 そんなことをつい考えてしまうほど、フィラリアのお薬は高価なのだった。

 たった6粒なのに9千円(税込\9,450)!
 あんな小さい丸薬が、なんと1粒1500円!!
 これではまるで、覚○剤なみではないか!!!

 動物病院で財布の底をはたき、レシートをしげしげ見つめるにつれ、このような想念が頭を駆けめぐって離れない。そんな飼主たちの青ざめた表情など知らん顔で、他の犬に吠えかかり、病院の扉におしっこするなど、柴太朗は今日も悪戯ざかり、元気いっぱいなのであった。


―(今年のレシート控)―    

    泉沢動物病院

   氷見市柳田××××−×
   пi0766)××−××××

   2004−04−24 14:42


 キョウケンビョウ 非  \3,000
    6点  @1,500
 投薬料      \9,000
 投薬料      \1,000
 外税対象    \10,000
 消費税等 5.0%  \500
 非課税合計   \3,000
 合   計    \13,500










  「小脱走」 20040226


 今日またおバカな柴太朗は、鎖を抜けて脱走した。昨夜、きちんと鎖は掛かっていたのに(晩ごはん時)、早朝見事にフックを外して、とんずらしてしまった。
 以前(20020914)初めて脱走した時は、さすがに驚いて犬探しのチラシまで考えたものだ。しかしかれこれ3年近くも飼っていると、もう奴の性格も分かっていて、今更うろたえることもない。 最近はすっかり飼い犬になり切っており、もうこの家を出られない体になっていることなど、お見通しなのだ。毎晩のごはんがおいしくて、「スリー」なんかしている犬が、他のどこで暮らして行けるだろう。

「しかし、まだまだ若造で、自動車の怖さをしらず、交通事故だけは心配だ…」
などと家族で話していたら、やっぱり8時頃、「朝ご飯は?」という顔付で庭に戻って来た。何時間も、どこをほっつき歩いていたのやら。まあしかし、よそ様へ迷惑をかけず、朝までに帰ってきたことだけは、評価してやらなければならない。
 このところ育児に振り回されて、あまり柴太朗のことをかまってやれなかったから、反抗したのだろうか…。まさかねぇ〜。









  「大雪」 20040201


 正月からの暖冬がまるで冗談かと思えるくらい、北陸は1月下旬に大雪となった。
 富山県内では雪が少ないことで知られる氷見でも、50cmを超えるドカ雪が降った。JR氷見線が不通になる(前代未聞)わ、自動車で高岡へ出るのに1時間もかかるわ、連日雪かきで忙殺されるわ、久しぶりに雪国らしい日々だった。
 この頃ようやく寒波も一段落して、昨日今日と、お日様が顔をのぞかせている。

 しかし人間様がこうして寒さに震えている時も、北海道犬の血を引く(?)柴太朗にとっては、何でもないらしい。むしろ日々絶好調で、雪に興奮しはしゃぎ回っていた。また寒さで食欲も増すらしく、朝夕の食事はペロッと平らげ、家人の顔を見ると、いつでもおやつをねだる。
 「雪やこんこん―(中略)―/犬はよろこび庭かけまわり―(後略)―」
という童謡はまさしくその通りで、ほんとうに犬は雪が好きなのだった。

 けれども一般に、雪国の人間は、雪に辟易している。正直いってこんな時季に、外へは出たくない。
 それを、吹雪の夜でも涙をのんで散歩してやっているのに、よろこび勇んでリードを引くこと引くこと。とうとう先日は、対向車とすれ違う際、雪に足をとられて壁にぶつかり、手をケガしてしまった。
 あまつさえせっかく買ってやった「ペット用あったかマット」も、寒気が緩んだ昨日、表に引きずり出して、クチャクチャにしていた。

 こいつめ!
 もう知らんからな。去年みたいに(20030305)寒の戻りで夜鳴きしても、無視するからな。
 飼主(補佐)のきもち犬しらずで、やんちゃの限りを尽くす悪い柴太朗だった。