晴耕
迷 犬 柴 太 朗
2003
−推定2歳−
「冬対策」 20031223 今年は暖冬で、富山の初雪も大幅に遅れた。ようやく20日(土)にまとまった雪が降り、北陸の冬らしい気候になった。 そこで、わが家のなましい※北海道犬である柴太朗が、また寒がって夜鳴きすると困るので(→20030303)、冬越しの対策をとることにした。 まず庭の道路側から吹く風対策として、あれこれじゃまな品々を撤去した上で、犬小屋の向きを反対にした。また風雪除けに、道路側へたらいも置いてやった。 次に犬小屋の中へ、むしろを敷いた。柴太朗はなぜか毛布を嫌い、外へ引き出してズタズタにちぎるが、わら製品は大好きで、「スリー」したりする。さらに屋根を幾重もの毛布やシートで覆い、寒風が入らないよう工夫した。 最後に数日してから、柴太朗が新しいむしろに慣れた頃を見はからって、とっておきの「ペット用あったかマット」をむしろの下に忍ばせてやった。これは電源を必要とせず、何層もの素材を重ね犬自身の体温で暖めるタイプであり、今年の冬のお薦め商品だった。 これで床面から冷気が襲うこともなく、ぬくぬくと過ごせるはずだ。 以上の措置を講じたところ、自分に都合の良いことだけ、ひどく鋭敏な柴太朗は、寒い日などずっと犬小屋に閉じこもり、家人が来たらちょっと顔を出すという体たらくになった。 まあ、効果があったということで満足すべきなのだろうが、ほんとつくづくなましい※奴やなあ〜。 ※「なましい」:1.生の。 2.未熟な。 3.(方言 氷見市)なまくらで根性のないさま。 「スリー」 20031208 今ちまたでは、「トレビア」のなんとか、というTV番組がはやっている。そこでは役に立たない豆知識を、「へぇ〜」という単位で品評しており、なかなか笑える。 ところでわが家の柴太朗も、「スリー」という単位を持っており、この尺度で物事を評価しているらしい。それは下図の通り、鼻先から突っこむような体勢で頬を擦りつける動作であり、例えば次の場合、これを何度か連続してくり返す。 1.芝生などお気に入りの場所で 2.好みに合うおもちゃに対して 3.おいしいお菓子をくれたとき 4.牛や豚などの骨に対して 5.晩ごはんがおいしかったとき
「柴太朗の耕作」 20030921 先日、例によって柴太朗を、こよなく愛する畑へ連れて行ったところ、なんと図のように、勢いよく耕しはじめた。 これまで畑へ来ても、頼みもしないのに番犬のフリして、近所を散歩する皆さんに迷惑かけてきた。あまつさえその報酬に、お菓子やら飲み物やら要求する始末だった。
「柴太朗の夏休み」(奥様筆) 20030901 7月の終わりから1週間ほど、お姉さま御一行が帰省された。 みなさん柴太朗のことを気にかけて、顔をのぞいてくださるのだけど、小屋の奥に引っ込んで出てこない。特に姪のKちゃんは、柴のことが気にいって友達になろうと、去年から来る度に根気よく説得を重ねてきた。 しかし偏固な柴太朗は、暑い日中にもかかわらず、小屋に引きこもったまま出てこない。 夕方柴の散歩に総勢4名で出掛けた。 いつもだとリードを見ただけで飛び出してきて、くわえて引っ張るのに、小屋の奥に引っ込んだままだ。仕方ないので首輪をつかんで引きずり出す。家の門から外に出ると、いつもの通り自分勝手な柴太朗で、突然ダッシュするは、右に左にうろちょろするは、おしっこをして猛烈に後足で土を蹴散らすはで、皆さんの失笑を買うのであった。 そんな柴太朗も、いつもはあまりもらえないジャーキーの誘惑に抗し切れず、皆さんの前で「お手」「キャッチ」をご披露したのだった。「人見知りで自分勝手で役に立たない柴太朗」が、一躍「お利巧で賢いわんちゃん」に格上げになった瞬間であった。その後も、柴太朗は相変らず小屋に引きこもり、愛想悪いのだが、辛抱強いKちゃんに訓練されて、5日後に皆さんが帰る頃には、小屋から出てきて一緒に遊ぶ位になったのである。 Kちゃんの観察によると、柴太朗は一回の散歩で二三回のおしっこをし、ドッグフードより鯉のエサが好みのよう、とのことだった。 皆さんが帰られた後も、お客さん嫌い、人見知りは一向に改善しない柴太朗であるが、お手・おすわり・ふせ・仰向けコロンなど、命令に対する反応が素早くなった。以前は、指示に対して違う行動をすることもあったが、ほとんど間違わなくなった。やはり沢山の人に喜んで褒めてもらったことが、うれしかったのだろうか。しかし、柴太朗はプロのワンワンなので、ノーギャラでは芸をしようとしない。ご褒美を見つめるまなざしの真剣さに、プロ根性を感じさせられる(ただの食いしん坊という話もある)。 ともあれこのように、柴太朗の夏休みは過ぎていくのであった。
「柴ちゃんのお手」(奥様筆) 20030710 苦節一年。お馬鹿な「しばかたろう」が、ついに「お手」を覚えた。 まだえさにつられているのがミエミエで、挙げた前肢は気もそぞろに、あらぬ方向を向いているのがご愛敬である。 柴太朗が我が家に来た頃は、まだ放浪犬の荒々しさが全身から放散されていた。 腹は減るから、えさは食べるけど、人のいうことなんかきくものかという気を発散していた。 おすわりは、しつけられていたのか、特に教えなくてもしたけれど、伏せはえさを使って伸ばしたひざの下をくぐらせようとしても、頑としてしなかった。犬なりのプライドもあったのだろう。 そんな柴太朗が、軟化してきたのは柴洗いをした後からだった。お腹を見せるようになり、長々と寝そべったり、くっついてきてなでてもらいたがるようになった。伏せもえさにつられてするようになった。慣れてくると、柴太朗はとっても甘えん坊だった。はじめの頃の、毅然とした姿が懐かしいくらいだ。 柴太朗の顔は、柴犬がどちらかというとすっきりした狐顔なのに比べると、愛敬のある顔である。やはり狸かと思っていたが、このごろこれは熊顔なのではとおもうようになった。テディのように可愛ければよいのだけど、きかんぼうの顔である。 では、ここで柴太朗の芸の数々について紹介しよう。 1.お手・・・最近覚えたばかり。 2.キャッチ・・・三島豆(なぜか柴太朗の好物)を投げてやると、口で受けて食べる。 確率は8割くらいかな。投げ手のコントロールにもよる。 3.仰向けコロン・・・伏せの姿勢から、コロンと横になる。 4.もってこい・・・ボール、ロープは投げてやって持って来いというと、くわえてくる。 しかし、遊んで欲しいときやご褒美がもらえない様子だと無視する。かわいくないやつ。 レパートリーは、これくらいである。しかし、極度の人見知り犬なので、まだよそ様の前でご披露したことはない。三島豆をキャッチするところなんか見てもらいたいんだけどなあ。きっと拍手喝采で投げ銭なんか飛んでくるかもよ。 ― 最近、奥様から投稿してもらえず、孤軍奮闘していたが、今回はかくの如く 長文にわたる玉稿をいただき、感涙にむせぶ今日この頃であった。 ただし少々誤字脱字があり、僭越ながら校正させていただきました(愚夫)。 「夏の柴太朗」 20030624 そろそろ暑くなってきた。最高気温が30度近くなり、梅雨時で湿気もひどい。夏に弱い柴太朗には、つらい季節がやってきたようだ。 そこで早々と暑気払いとして、恒例の「柴洗い」を敢行した。脂が染みて、風通しの悪くなった体毛をきれいにし、少しでも体温が逃げやすくするためだ。まあ、ちょっと臭くなったせいもあるが、それは大した理由ではない。 いつものように、心を鬼にして嫌がる柴太朗を押さえつけ、一気にシャンプーをかける。体をフルフルさせ、しぶきが飛びちる中をものともせず、シャワーを浴びせすすぎにかかる。およそ20分ほどで、人も犬も疲れ果てた。
「畑の番犬」 20030601 柴太朗は「迷犬」だけあって、家では少しも番犬にならない。誰か来たとたん、サッサと犬小屋へ逃げ込み、声をひそめて隠れてしまう。 しかしたまに畑へ連れて行ってやると、頼みもしないのに近所の人や通りかかった犬に吠え、やかましくてしかたない。やはり家と違い開放感があるせいか、この地をこよなく愛しており、一歩でも知らない奴が侵入してくると怒り狂うのだ。ホント迷惑な奴…。 畑では番犬などせず、強靭な前足で農耕の手伝いでもすればいいのに、写真のようにチョコンと座って外敵を監視し続けるのだった。 ところでお気づきの方も、多々おられるのではないかと思うけれど(?)、柴太朗の首輪が、おニューになった。 例によってあちこち探しまわったのに、機能を重視するとデザインは選べず、けっきょくこんな色しかなかった。赤い首輪は男らしくないかなとも思ったけれど、これがけっこう似合うので、飼主ともども喜んでいる。犬バカだね〜。
「柴の受難」 20030412 近ごろ、柴太朗の受難が続く。 きょうは春の予防接種と、持病(フィラリア?)の検診に、先月末オープンしたばかりの「泉沢動物病院」へ行ってきた。 氷見市はこと動物に関するなら無医村に近く、これまで入院もできない診療所が、一軒あるだけだった。それもプレハブのような建物で、医師も設備も古びており、愛犬家の皆さんは何かあった場合、わざわざ高岡まで走らなければならなかった。まさしく待望の動物病院であり、さっそく様子を見てくることにした。 実は先週の「柴洗い」も、きょうのための布石であったくらい、念を入れて検診に備えていたのだ。 きょうは朝からまぎれもない雨の日で、花見へ行く計画もつぶれ、心おきなく柴太朗の世話に費やすことができた。 なにも知らない哀れな犬は、朝から遊んでもらえるとカン違いし、しっぽブンブン状態だった。それから車に乗せ、病院へ向う。降りるといつものような畑でなく、なにかおしゃれなお店の前だった。ドアを開けて中へ入ると、ま新しい清潔な部屋に、観葉植物などが飾ってある。愛想のいい看護婦(?)さんが応対に出て、問診などしているうちに、恐怖の診察が始まるのだった。 よく日焼けした、スポーツマンタイプのお医者さんが、いきなり痛い狂犬病の注射をする。診察台の柴太朗は、いつものやんちゃな態度はどこへやら、うるうる目でこちらを見つめる。ちょっとかわいい…。 それで終ればまだいいが、さらにフィラリアの血液検査が待ち受けていた。 なんとバリカンで前足を剃り上げ(少しだけど…)、脱脂綿で消毒して、剥きでた白い腕(足?)に注射器を刺し、血を抜くのであった。さすがに少々暴れたけれど、屈強な男どもに押さえつけられ、身じろぎひとつできるものではない。泣きそうな柴太朗の表情を見ていると、哀れでさえあった。奥様など、すかさずジャーキーなんかやって、なだめすかしていたが…。 しかし検査結果は良好であり、去年発見されたミクロ・フィラリアは、完全に絶滅していた。フィラリア成虫を調べる試験紙の反応も、擬似陽性で特に異常はみられなかった。 その点、安心したものの、動物の病気は保険が利かず、ひどく治療費が高い。けっきょく以上のような処置とフィラリア予防薬で、飼主の財布にも大きな痛手があり、犬・人ともにうなだれて雨がそぼ降る中を帰ってきた。
「柴洗い」 20030407 しばわん日記 4月6日(奥様筆)
良い天気になった日曜日、懸案だった柴洗いを決行した。
年が改まってから、一度もシャンプーしてやっていない。寒い間はともかく、 暖かくなり抜け毛も盛んになってきて、ちょっと臭い柴太朗であった。 しかし、年末に柴洗いをしたとき、さすがに外では洗えまいと、おかあさまの 留守を見計らって、風呂場で決行したのだが、怯えて逃げ回り、すごく大変だった。 できれば、先延ばししたいと二人の思惑は一致して、今日に到った訳である。 昨日の雨は、うそのように、快晴である。やはり今日決行だ。 新聞紙、タオル、ドライヤー、のみ取りシャンプー、ブラシなど道具を揃えて、 カッパエプロンをして、いざ出陣! 柴太朗は、やはり逃げ出そうと少しあがいたが、お湯をかけられると観念したのか、 比較的おとなしくシャンプーさせていた。ドライヤーも二度目で慣れたのか、前ほど 嫌がってはいない。 ジャーキーをご褒美にやって、いいこだったねと褒めてやる。夫は、甘いので牛乳 までやっていた。 獣臭かった柴太朗は、シャンプーの香りただよう飼い犬らしくなった。 今度、新しい首輪を買ってやろう。
「人見知り犬」 20030401 先月の26・27日と、春休みに例の如くお姉さま御一行が、拙宅へお泊りにいらした。 お子様方は拙サイトで、柴太朗の動向を詳しくチェックされており、こんな迷犬でも会うのを楽しみにしていたらしい。 しかしながら最近こいつは、お客さん恐怖症が進行したらしく、玄関でチャイムが鳴るだけで、すたこらサッサと犬小屋へ逃げ込んでしまう。予想に違わず子供たちを見た瞬間、姿を隠してしまった。2泊3日で拙宅にいた間、お姉さま方は柴太朗の全身を、一度もまともに見ていないだろう。 恐るべき逃げ足の速さだった。 こんなに皆から好かれているのに、どうしてこいつは人の好意を無視するのだろう。放浪していた時、なにかひどい目に遭ったのだろうか。その割にはまだヒネてはいないが…、等々あい変らず謎の多い柴太朗なのであった。
「しばわん日記 平成15年3月3日 ひなまつり」(奥様筆) 【柴太朗談】 今日は、ぼくがこのうちに来て初めてのひなまつりだった。 とくべつなごちそうは、なかったけれど、おにいさんがおねえさんのために 買ってきたひなあられをぼくにもわけてくれた。 ほんのりあまくて、さくさくと歯ごたえのいいひなあられは、とてもおいしかった。 2月は節分の豆まき。3月はひなあられ。1月には、お餅も食べた。 ぼくは、やっぱり日本のたべものが、好きだなあ。 おにいさん。らいねんは、ぼくのためにも一袋買ってきてね。 しばたろう(代筆 妻) ―かくの如く節句ごとに、柴太朗をダシにして戯れるわが家であった。 ところで今日(20030305)は寒の戻りで、雪が数センチ積もっている。春も近くなり、毛が抜けはじめた柴太朗には、この寒さがこたえるらしく、昨晩ひさしぶりに夜鳴きをした。今朝もしつこく鳴きまくっている。 北海道犬の血が混じっている(?)くせに、この位の冷え込みで泣きを入れるとは、なましい奴…。ちょっと過保護に育てすぎたか。ご近所迷惑とは知りつつ、今後の躾のためにも、涙をのんで放っておくことにした。ワオーン! 「しばわん日記 平成15年2月4日」(奥様筆) 昨日2月3日は節分だった。私はシャバの暮らしにもどって3日目。 朝のコーヒーのせいか、風邪気味なのか、胃が痛くて寝てしまった。 傷に効くという指崎の湯に行く予定だったのに、これもおあずけだ。 節分なのに、まるかぶりの太巻きも買いに行けずなんだか悔しい。 くやしまぎれに、何かのおまけで家にあった鬼のお面を柴太朗にかぶせて、 豆をぶつけてやったら、喜んではねまわり、うれしそうに豆をカリカリ食べていた。 おもしろかったので、来年もぜひやろう。 ―奥様の退院後、さっそく玉稿をいただいた。 入院中柴太朗は、家の異常な気配を察して犬小屋に閉じこもり、食事時以外、出てこなかった。久しぶりに奥様の顔をみると、シッポをブンブン振りまわし、さかんに「遊んで遊んでポーズ」をする。寒いのですぐひき上げると、例のごとくクンクンあま鳴きしていた。やはり飼主は誰か心得ているらしく、いつもの態度に戻っていた。けなげな奴…。(愚夫) 「柴の素性」 20030103 新年、あけましておめでとうございます。ホームページもなんとか大晦日までにリニューアルでき、めでたしめでたしといった年の始まりです。 さて、よく晴れた元旦のお昼すぎ、律儀に犬の散歩をしていたら、たまに行く焼肉屋の親爺と会った。彼も似たような雑種犬を飼っているらしく、いろいろ雑談していたら、なんと柴太朗を見て「これは北海道犬の雑種だ」と言う。体型や舌の斑点などで分かるらしい。 エッ柴犬でなかったの…。 たしかに柴犬としては、大きすぎるし、秋田犬とも違うから、言われてみるとそうかもしれない。すると「柴太朗」でなく、「北海太朗」と改名しなくてはならないのだろうか…。しかし柴犬の血も混じっているようだから、今のままでもいいか…、などと新年早々この犬は、飼主たちを混乱させるのだった。 さすが「迷犬」の名に恥じない奴…、などと感心している場合ではない。これからまた資料をかき集めて、柴太朗のルーツを解明しなければならない。 |