晴耕
迷 犬 柴 太 朗
2002
「柴の家」 20021123 今日、懸案の冬対策として、かねてから農協の住設課(ローカルだな〜)へ頼んでいた、テラスが完成した。 今年は時雨れて記録的な寒さとなった11月中、風雨にさらされ難儀していた柴太朗のために、飼主の奥様がボーナスをあてに増築したのだった。それまで貧弱なビーチパラソル1本で夜露をしのいでおり、これでは冬を越せないと心配して、厳しい経済状況の中、大枚はたいて発注した。飼主の鑑と言っても差し支えないだろう。しっかり物干しまで作られているが、これはあくまでおまけに過ぎない。 わが家で、柴太朗の地位がいかに向上しているか、うかがえる出来事といえよう。
「迷犬を探しています」 20020914
と言うように、とうとうお馬鹿な柴太朗は脱走してしまった。どういうわけか鎖が外れて、首輪をつけたままどこかへ行った。 それでも朝の6時頃までは家でゴソゴソしていたらしく、日頃の鬱憤ばらしか、庭中の鉢植えがひっくり返り、ゴミ袋は散乱していた。もぬけの殻になった犬小屋は、見るからに寂しく、庭がやたらと広くなったように感じる。その内に帰って来てくれるとは思うけれど、なにしろ飼いはじめてからまだ3ヶ月しか経っていない。この家を棲家と思ってくれていたか、ちょっと不安にも感じる。しかし、どうしようもなく、上記のようなチラシでも配って、ただ待つしかない。 などと、あれこれ心配していたら、7時半頃、ひょっこり帰ってきた。晴々とした表情で尻尾をブンブン振りまわし、お腹すいたとおねだりしている。 さんざん気を揉ませやがって、その態度はなんだ、と大声で叱りつけ、…など決してせず、よく帰ってきたねェ〜と抱きつき、ごちそう用の高級ドックフードをあげたのだった。ああ、これでまた柴太朗になめられてしまう。 しかしなにはともあれ、一件落着!! 「夏バテでした」 20020908 久しぶりの更新となってしまった。8月の終わり頃、富山はひどい残暑に見舞われ、最高気温が38℃を記録した日もあった。この夏最高で、また全国一の高温でもあった。完璧な夏バテになり、家では昼寝以外なにもできなかった。熱でパソコンも機嫌悪く、そおっとしておいてあげることにした。 しかしこの間も身辺は色々あって、お盆には千葉からお姉さま御一行が帰省され、にぎやかだった。その他、毎日犬の散歩をし、毎週畑へ水遣りに行き、何度か日帰り入浴にも行くなど、なかなか忙しかった。 ところでお姉さま帰省中、柴太朗の困った性格がまたひとつはっきりした。こいつは極度の人見知りで、お客さんに弱い。子供たちがいっしょに遊ぼうとしても、犬小屋に閉じこもって、ぜんぜん出てこなかった。食い意地がはっているくせに、エサで釣ってもダメだった。柴犬は概して、飼主にしか慣れない傾向があると聞いてはいたけれど、これほどとは思わなかった。ほとんど対人恐怖症に近い。そのくせ飼主には甘えん坊で、じゃれるやら噛つくやら鬱陶しいくらいなのだ。 番犬などとは初めから考えてもおらず、フレンドリーな犬になって欲しかったのに、この偏固な性格にはまいってしまう。一体だれに似たのだろうかと、夫婦で罪をなすりつけ合っている。 「しばわん日記 6」 20020813 本日は、懸案の「柴洗い」をした。少しは慣れてきたものの、抱え込んでいなければすぐ犬小屋に逃げ込み、あたりは水浸しで飼主のパンツまでびっしょり濡れる。今日も暑く水遊び感覚で一仕事したけれど、涼しい季節は御免こうむりたい。何とか風呂で洗えないかと作戦を練っている。
「しばわん日記 5」 20020806
最近は実にしばしばホームページの更新をしている。それも奥様から愛犬ネタの 原稿を頂いているからで、日付は若干前後するけれど、今回も楽してそのまま掲載 したい。 8/1(木)快晴(奥様筆) 昨日は、海方面へお散歩に行った。前にも一度漁港方面に行ったのだが、散歩中の人と犬とがたくさんで、慣れない"しばわん"が興奮し大変だったので、しばらくやめていた。そこで犬のいなそうな道を駅方面に向かって歩くと、家の中からも吠えかけられずに快適と思っていたら、最後に海に面した家で何匹も飼い犬がいていきなり吠えられてびっくりした。"しばわん"は、結構平気で、吠え返しも向かっていったりもしなかった。海岸は、しっかりコンクリートで固められ、砂浜ではなかったけれど、"しばわん"は、始めはそろそろと、しだいに大胆に、波とたわむれていた。 水が嫌いなヤツなので、近づかないかと思っていたのに、「帰るよ」と言っても、波打ち際で遊んでいた。この様子ならば、海水浴に連れて行ってもよさそうだ。 ところで、7/29(月)には、実家のタロウ(柴雑オス 推定6才)とお見合いをしてきた。このままだと、どこにも旅行に出れないので、預け先を確保したいのだ。 しかし体格が同じくらいでオスどうし、仲良くなるわけもなく、ほえあうばかりだった。 柴太朗は、里の母にウィンナーと菓子パンをもらい大喜びで、街中の家とは違う、広々とした住環境も気に入ったみたいだ。タロウの小屋になっている納屋先をあちこち探検したり、何回もマーキングしたりしていた。何度か会わせていれば序列もついて仲良くなるだろうか。そうなってほしいものだ。 この頃の柴太朗は、すっかり甘えん坊で、伏せやお腹を見せて横になり、撫でてもらいたがる。手足も伸ばし、ながくなって寛いでいることもある。なにかとくっつきたがり、あま噛みがひどいのが困りものだ。それと、暑いせいかドライフードの食いつきがわるく、皿に入れてやっても"これなの?"といいたげに人の顔を見る。一口二口食べて遊んでいるので、好き嫌いが出てきたかと思っていたが、ミルクがけにしたら、ペロリと平らげた。"しばわん"は、やはり日本犬なのか、味噌汁ごはんが好きなようだ。皿まできれいになめる。まあ、今のところ健康優良犬だろう。 ―今回は長文なので若干編集しました(愚夫)。 「しばわん日記 4」(奥様筆) 20020726 先日、しばわんの洗濯をしてから、柴太朗がじゃれて遊ぶときに、おなかを見せるようになった。いやがって、小屋に逃げ込んだしばわんを、あの手この手で誘い出そうと、試みたが、敵もさるもの。さすが、保健所の衛生予防課長に、 「どこの大学出ているのか、かしこいやつ」 と言わせただけあって、ボール&鮭ジャーキーでおびきだしたのに、不穏な空気を感じ取ったのか、ふさいだわずかな隙間から、小屋の中に飛び込むように逃げ込んでしまった。 仕方なく、私が悪者になって、首輪を持って引きずり出し、小屋の入り口を板でふさいで、ようやく観念した様子。そのあとは、さっきの捕り物劇がうそのように、おとなしくシャンプーされていた。シャンプーしたあと、しばらくはいい匂いだったが、もうすこし犬くさくなってしまった。でも、先日で慣れたから、次回はあんな思いをしなくていいだろう。 しばわんは、人見知りなのか、内弁慶なのか、家で飼主にはわがままな利かん坊なのに、他人の前では、おとなしくて小屋に隠れたりする。もっと社交的な、愛想のいい犬になってもらいたいなあ。 「しばわん日記 3」 20020722 この日記も最近は、「愛犬の友」のような内容になりつつある。犬を飼ってはじめてわかる犬バカの気持で、もう柴太朗のいない生活など考えられなくなってしまった。毎晩欠かさず散歩に出かけ、躾に悩み、夜鳴きに怯えながら、早くも溺愛状態に陥っている。甘やかすあまり、根性の悪い犬に育たないだろうかと、犬バカ的な心配の種は尽きない。 さて本日は、月に一度やってくる「柴洗い」の日だった。日本犬なのであまり体臭はキツくないものの、やはり少々臭っており、意を決してシャンプーした。特に水が嫌いな奴なのでひどくてこずり、人も犬もヘトヘトになった。ああ、来月の「柴洗い」が思いやられる。 「しばわん日記 2」(奥様筆) 20020710 台風6号が近づき、ここ氷見も被害がないとはいえ、強い雨が降っている。しかし、我が家の"しばわん"は、ラッキーなやつで、いままでどんな雨だろうと、お散歩の頃合いになると、小降りになるのであった。今日も、水嫌いの柴太朗のことだから、散歩は遠慮してくれるかとの期待も空しく、雨は小康状態になってきた。キラキラお目目で、「さんぽ?」と見つめてこられると、抵抗しきれないのであった。 近くの校庭にでかけると、何の臭いに反応したのか、猛烈な勢いで穴を掘り始めた。砂を蹴散らし、穴に鼻を突っ込み臭いを嗅いで、また掘り出す。深さ20pくらいの穴が、たちまちにして現れたが、目的のものはまだ出てこないようだ。しかし、これ以上掘られても困るので、未練たっぷりの柴太朗を促がして、帰路につく。 あのパワフルさで、我が家の荒れ畑も耕してほしいものだ。願わくば、"ここ掘れわんわん、大判小判がざっくざく"という状況になるといいなあ…。 「犬が来た(3)」 20020709 近頃はまったく里山へ行かず、温泉や畑作にうつつを抜かしている。さらに犬まで飼ってしまって、いつ山へ出かけられるのだろうか。しかし我家も畑も温泉も、里山のふもとにあり(海にも近いけれど……)、その周辺で戯れているわけだから、全然関係ないこともない、と苦しい言い訳をしている。 ところで今日は、久方ぶりに奥様の玉稿を賜ったので、さっそく掲載しよう。今この家庭が、いかに柴太朗のため掻きまわされているか、よく分っていただけると思う。 奥様筆 ―しばわん日記 1― 7/7日曜日 晴れ "しばわん"こと柴太朗は、今日も元気である。この一週間、夜に一度は鳴いてい たが、土日は一度も鳴かず、お利口だった。私も久しぶりに熟睡できた。 今日は暑いので、おひるに氷をやったら、しばらく口の中であぐあぐしていたが、 歯がたたずに落としたりして、かわいくて笑える。午後外出して帰ると、パラソルの下に大きな穴を掘って、そこに坐って涼んでいた。このごろは、きちんとごはんがもらえることがわかったのか、前ほど、狂喜乱舞して、飛びついたり見境なくなったりということは、減ってきた。"おすわり"というと坐り、"待て"はおやつの時はするが、ごはんだと待ちきれないようである。徐々に飼い犬らしくなってきた。 7/8月曜日 晴れ 今朝、ごはんのあと、しばらく遊んでやって、犬用の骨型ガムをやると、早速穴を掘って隠していた。うわさには聞いていたが、目のあたりにするのは初めてだった。日中、人がいなくて閑なとき、掘り出して食べるのだろうか? 我が家にも慣れてきたのか、だんだん犬らしい習性を見せるようになって楽しい。 「犬が来た(2)」 20020702 わが家に柴太朗が来てから、早くも半月が過ぎた。その間いろいろと珍事があり、犬に振り回される毎日を送っている。ところで先週の土曜日、ついに恐れていた事態が起きた。柴太朗の夜鳴きに苛立った近所のおっさんが、一言もの申しに訪れたのだった。彼は近所のやかまし屋で有名な奴とはいえ、やはり夜鳴きは迷惑だ。夕方けなげな飼主の奥様が、菓子折を持ってお詫びに行ってきた……(涙)。 けれども柴太朗は今日も元気で、「犬が西向きゃ尾は東」の如く、マイペースで遊んでいらっしゃいます。 「犬が来た(1)」 20020622 先週の木曜日(13日夜)に、わが家へ柴犬が来た。火曜日に奥様がとあるご縁で捨て犬を見つけ、まだ若く賢い犬らしいので、家で引き取ることになった。今後は永く家族の構成員となる。あれこれ悩んだ末、名前は「柴太朗」、別名「copain(コパン)」とした。夫婦でそれぞれ好きな名前を付け、横文字名はミドルネームと言ったところだろうか。 まだ躾もろくにできてはおらず、最初の1週間は登録・予防注射に犬小屋の準備、お散歩・お食事・ウンチ等々で振り回されてしまった。最近ようやく慣れてきたものの、やはり手が掛って仕方ない。夕方どんなに疲れていても、食後は必ず散歩に出かけなくてはならない。それでも行けば面白くて、1時間くらいすぐ経ってしまう。正直言って犬は可愛いけれど、やはりちょっとしんどいなと思う。
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