晴耕
里山日記
2004
「碁石が峰再訪」 20041121 9月19日の日記で、「山へ行きたい」等々とわめいていたのがようやく実現し、先日また「碁石が峰」へ行ってきた。このところ他事多忙で書くのがひどく遅れてしまい、実際行ったのは一月も前の10月17日の日曜日だった。 うららかに晴れた秋の一日で、久しぶりに外でお昼を食べ、軽くハイキングでもしようと、幼いわが子も連れ、三人で出かけた。 今回は楽するため、途中のコンビニでサンドイッチなどを買い、山道を30分ほどドライブする。何度か行った場所であり、ろくに地図も見ず出かけたせいで、途中で道を間違え、「碁石が峰」山頂へ向かってしまった。舗装がなくなり、方向転換しようとしても、細い山道でハンドルが切れず、しばらく走るとようやく広い道に出て、Uターンできた。 ちょっと失敗したが、あたりは絶好の景色であり、今度はここを目当てに、ピクニックでもしよう話合った。
以前も書いた通り(「コケノート」20030714)、ここはシバタケの発生地で、目を皿のようにして道中足下に注目していた。けれどもすでに先客が取り散らかした痕跡を残すのみで、全然収穫はなかった。 ただそれでもはじめて山の空気に触れた息子は、快い疲れからスヤスヤ寝入っており、久しぶりにリフレッシュした気持で、3時頃家路に着いた。 「芋掘り」 20041018 かねてから懸案の課題だった芋掘りに、先週ようやく行ってきた。 半月ほど前から「週末晴れたら必ず決行!」などと息巻いていたのに、秋の長雨だったり、台風が来たりしてたいへんだった。なんとか空模様を見ながら、晴間を狙ってわが家のプチ菜園へと出かけた。 しばらく世話しに来れず、畑一面草ボウボウであり、せっかく買った草刈り機の成果も台なしだった。それでも下図の如く雑草に負けず、サツマイモの葉っぱは元気に育っており、ここにどれだけお芋が眠っているか垂涎ものであった。 例によってじゃましに来る柴太朗を追いやりながら、セッセと芋づるを引っぱり、土を掘り返す。 去年は不手際があって、5月に苗を買いそびれ悔しい思いをした。2年ぶりで芋を掘る手の感触には、なんともこたえられないものがあった。はじめは小ぶりのヤツばかり出てきて少々焦ったが、途中から大物が数本現れ、歓声が上る。 小一時間ほどでこのように、大小とり混ぜ、買物袋いっぱいほどのサツマイモが収穫でき、ホクホク顔で帰宅した。 長年、耕してなかった土地を、奥様が開墾してからこれで3年、ようやく自家製の堆肥や腐葉土がこなれ、黒っぽいフカフカした畝が、いくらかできてきた。今回掘ったのは、わがプチ菜園で最も肥沃な場所であり、その後にはあの嬉しいソラマメ様など植えさせていただく予定である。
「山へ行きたい」 20040919 ところで今年は、これまでの日記を通読された方ならご存知のように、ほんとにどこの山へも遊びに行っていない。「里山日記」における「山」の部分が完全に欠落した、単調な内容でお茶を濁している。 それなら「朝日山」はどうなんだと言われそうだけれども、氷見の皆さんなら周知の通り、ここは山という名が付いていながら、実際は丘みたいなものだ。展望台の天辺まで上っても、標高100mにも満たない。そう言えば近所に、「朝日ヶ丘」(あさひがおか)という地名もあり、この方が「朝日山」の実体を表している。 しかしまあこの山(丘?)でも、ワラビ・ゼンマイなどは当然として、ウスヒラタケが出るわ、キクラゲが生えるわ(コケノート参照)、他にもクリ・クルミ・アケビ等々、けっこう山の幸がある。各々の季節には、たいへんお世話になっており、文句など言っては罰が当る。 ただやはり1000mとまで行かなくとも、数100m程度の山へ入っただけで、空気からしてまったく違う。木々の密度が平地とは問題にならず、息を吸う毎に精気がすみずみの細胞まで行きわたり、全身リフレッシュするような気分になる。500mを超える本格的な山へ行けば、気温も日差も下界とは異なり、森林浴の効果がさらに増す。 氷見でそんな場所はと言えば、石動山ぐらいしかない。たまには対岸に聳えて見える、立山へ行きたいものだが、今年はなにせ0歳児を抱えているので、まだ石動山すら登っていない。 最近、真夏日も少なくなり、秋の気配が濃厚になった。もうしばらくして金木犀の香りが漂う頃になれば、うれしいコケ採りのシーズンだ。いま息子も生後半年を過ぎたので、この秋はちょっとしたハイキングに、二上山くらいへは行けるかもしれない。 「草刈り」 20040801 先週末、やっとわが家の小菜園で、懸案の草刈りが実行された。 5月の「今年の小菜園」(20040508)で掲載した写真を見ても、すでにかなり雑草が繁茂している。これが梅雨を越し盛夏ともなると、植物は喜んで日に日に成長し、ちょっと放っておいただけで、悲惨な状況になる。
「初めての夏祭り」 20040718 そろそろ梅雨も明けようとしている。 数日前に隣の新潟県では、集中豪雨で堤防が決壊し、多くの死者すら出たようだ。今日福井県でも、足羽川の堤防が何箇所か切れ、大きな被害が出たと報じらている。 ところが富山県は、すでに夏本番のような天気で、雨らしい雨が降らない。人の休みの日を狙い、週末半日ほどよいお湿りになる程度だ。おかげでなかなか畑の草刈ができず、わが家の小菜園の周辺だけぼうぼうと、ご近所に申し訳ない有様になっている。 今週こそ意を決して、畑の始末に赴かなければならない。 ところで今年は、改めて言うまでもなく、息子が産まれて初めての夏だ。まだ生後半年なので、残念ながら海やら山やらへは連れていけない。 しかしそれでも14日の夜には、奥様の鶴の一声で氷見の祇園祭へ、親子揃って出かけることになった。これは名前が示す通り、京都・祇園祭の地方版で、山車が町内を巡行する。それほど大規模なものではないにしても、夏祭りとしての雰囲気は十分だ。ちなみに隣の七尾市でも、11日に祇園祭があった。 久しぶりに浴衣などはおり、ベビーカーを押しながら、7時過ぎに屋台が連なる1Kmほどの道を、ゆっくり往復してきた。春の「ごんごん祭り」は、さすがに幼すぎて出られなかったので、今回初めて祭りの人ごみを体験する。 親の方は、子供になにか買ってやろうと、屋台のおもちゃを熱い眼で物色していたのに、当の本人はそろそろ眠くなったらしく、不機嫌な表情で押し黙っていた。それでも名物の「どんどん焼き」を買うため行列につながっていたら、後ろの女子高生にかまってもらって、その時だけ愛想を振りまいていた。 つくづく将来が楽しみな(思いやられる?)奴である。 結局しぶちんなわが夫婦らしく、ゼンマイ仕掛の小さな自動車セット(\600)と、「どんどん焼き」5枚(@\200)を買っただけだった。後者は美味しくて良心的な店を知っており、5枚買うと1枚おまけしてくれる。縁日の屋台では珍しい、良心的なサービスだ※。また祇園の宮で、奥様が三人分のお御籤(@\100)を引いたら、息子・大吉、愚夫・中吉、奥様・小吉と、作為でもあったかのごとき結果が出て笑えた。 以上、色々騒いだ割には、\1,900(+お賽銭)しか使わず、愚夫の財布に合わせた安上がりなレジャーだった。
「梅雨時」 20040628 今年の梅雨は、異常気象だ。5月に春雨の域を越えた大雨だったせいか、例年より1週間ほど早く入梅したくせに、晴天続きだった。 今時めずらしく、写真の如き海越えの立山などが拝めたりして、これは空梅雨だろうと、安心していた。ところが先週の21日頃、突然台風6号が上陸し、富山県を直撃するコースだった。しかし今回も霊峰・立山が屏風となり、風雨を防いでくれ、最接近時になんの被害も出なかった。通過後に吹き返しの大風で、鉢植えがひっくり返った程度だ。 しかしこの屏風現象のメカニズムは、まだ解明されていないらしい。 富山県民は、もっと立山を崇拝すべきだろう。あやしい新興宗教などより、確かな現世利益があるのだから。
「今年の小菜園」 20040508 世の中がゴールデン・ウィークなどど浮かれていた先週、わが家では特にどこへも行かず、家でゴロゴロしていた。それは愚夫の商売柄、連休がまったくつながらなかったせいばかりでなく、愛しい乳呑児がいて遠出できなかったせいでもある。 しかし、そのおかげで2日ほど、犬の肉球※ほどもあるわが家の小菜園で農作業にいそしみ、今年計画していた作物を、次のように植え付け終ることができた。
@畑の番犬・柴太朗 作業中ちょっかい出しに来て迷惑だが、まあストレス発散のため仕方ない。 A農作業に精出しすぎて、真中から折れてしまった先祖伝来の鍬 さっそくホーム・センターで柄を買い、付け直して非常に使いやすくなった。 B場所替をしたコンポスト ようやく生ゴミが熟成していい堆肥ができ、掘り返し場所を移した。2年越しの労作。 Cサツマイモ 去年は買い逃し悔しい思いをしたので、今年はしっかり苗を確保した。 Dジャガイモ(キタアカリ) ちゃんと種イモを買い求めて、きちんと植えた(食べ残しではない)。 Eうれしいソラマメ 昨秋に植えたソラマメ様が、元気いっぱいお育ちになっている。うれしい…。 Fジャガイモ その2 →D Gサツマイモ その2 →C Hキュウリ・ナス 夏野菜の定番。某所から大量にいただくので、今年はトマトを植えていない。 Iタマネギ・ソラマメ 昨秋に植えたタマネギが、ボチボチ実っている。ソラマメ様も元気だ。 ああ〜疲れた。 しかし、よく熟成した初物の堆肥も盛大にかましたことだし、これで今年も色々収穫できそうだ。いやいや、たいへん有意義な連休でした。 ※犬の肉球 愛犬家の皆さんなら、一度はいじったことがある、犬の足に付いた肉のかたまり。 「今年の桜」 20040424 はやくも今年は桜の季節が過ぎ去って、非常に暖かい日が続いている。数日前には、なんと富山で気温が30℃に達し、真夏のような天候だった。 しかしずぼらなわが家では、コタツはおろかストーブさえ片付けていない。どうせ梅雨に入ったら寒い日もある、などと言い訳し、毎年こりず暖房器具と扇風機をいっしょに出し入れしている。 まだ乳呑児でも子供の躾の手前、そろそろ我々も親として成長しなければ、と考えてはいるが実行できない。嗚呼…。 ところで氷見の方面は、県内でも桜の開花が遅い方だと言われている。 それでも今年は4月10日頃に満開を過ぎ、17日の「ごんごん祭り」では花びら一枚残っていなかった。例年なら葉桜くらいは見られるもので、めでたく満開とお祭りが重なる時もしばしばあった。 そんな年の「ごんごん祭り」は異様に盛り上がり、朝日山中人ごみと化して、至るところでどんちゃんと、宴会が催されたりする。我々も弁当と酒を担いで、少々肌寒い夜を熱く過ごしたものだった。 やはり桜は祭りまでもって欲しいと、氷見の住人なら誰しも思うことだ。 しかし砺波のチューリップのように、莫大な予算を突っこんで、お祭りまで開花を伸ばすようなやり方は考えものだ。ほんとうなら、クローン桜の染井吉野ばかり見るのではなく、山桜や八重桜・しだれ桜等々、多くの種類を自然な開花に合わせて少しずつ楽しむ方が、趣味としては高尚でないか? それなのに近隣で、品種の違う桜などまとまって植えられた場所は少なく、たまに道端で数本見かけるくらいだ。最近、染井吉野の寿命が問題となっていることでもあり、画一的なお花見の仕方は、そろそろ変えていくべきかもしれない。
「久しぶりの畑」 20040410 3月中、身辺が慌しかったせいで、まったくわが家の小菜園へ行くことができなかった。 しかし桜の季節となり、週末晴天も続いてくれたおかげで、やっと外へ出ようかという気になり、先週の日曜日、一族郎党を連れ立って土いじりへ赴くことにした。 ちなみに一族郎党とは愚夫をはじめ、奥様と乳呑児、それに畑をこよなく愛する柴太朗という面々だ。 問題なのは、柴太朗が赤ん坊に嫉妬して、新参者め!とばかりに吠えまくることで、どうやって皆を軽四のワゴン車に収めるか、頭の痛いところだった。また畑の番犬を自負する柴太朗が、赤ん坊を縄張り内に受け入れるかどうかも心配だ。さらに乳呑児が、外でどれほど大人しくしていられるかもはかり知れず、色々波乱の種が含まれていた。
「雪どけの頃」 20040215 大晦日からの出産騒動や、1月末に降った大雪のせいで、この頃まったく外に出られない。従ってこの「里山日記」も、今頃になって新年最初の更新をしている有様だ。明けましておめでとうございます。 しかしともあれ、里山に対する興味関心は年々つのるばかりで、先日も本屋へ行き、森に関するおもしろい本を2冊見つけてきた(→「森の本棚」)。 1.森の旅 森の人 北海道から沖縄まで 日本の森林を旅する/稲本正 文 姉崎一馬 写真/世界文化社1990 \2,427 2.森の形 森の仕事 お椀から建物まで 第三次木の文明へのプロローグ/稲本正 文 岡崎良一 写真/世界文化社1994 \2,427 いずれも富山県出身の個性的な木工作家である稲本正氏の、エッセイ・対談等を収録した本で、プロが撮影した美しい写真も添えられており、ビジュアルな体裁になっている。日本の樹木とそれにまつわる文化についてうまくまとめてあり、1は全国の名立たる森林を実際に歩いて綴った旅行記で、2は日本各地の木工芸を木材別に取材したルポとなっている。 とりわけ2では身近な木材である「ウルシ・ブナ・クリ・クスノキ・ヒノキ・スギ・ケヤキ・マツ・キリ・タケ・コウゾ・ナラ」を採りあげ、樹木とそれを活用した木工作品を紹介している。 現代社会では森に生える樹木の姿など忘れがちで、上記の木々をすべて識別できる人など少数派になってきている。そんな我々に、かつて日本人が培ってきた木との営みを思い出させてくれる、好著であった。 雪がとけたら、さっそく里山をめぐり歩き、木々に触れたい。 ※ また稲本氏は、岐阜県清見村で森と木の文化について広く紹介し、手作り家具 などを販売するオークヴィレッジも経営している。 →オークヴィレッジのアドレス:http://www.oakv.co.jp/main.html |